ウクライナの戦いに貢献せよというプレッシャー

「みなさんは何千もの戦闘機を持っているのに、まだ1機も受け取っていない」

国会議員が見守る中、ウクライナのゼレンスキー大統領がオンラインで国会演説を行った=2022年3月23日
写真=EPA/時事通信フォト
国会議員が見守る中、ウクライナのゼレンスキー大統領がオンラインで国会演説を行った=2022年3月23日

3月24日、ウクライナ・ゼレンスキー大統領はNATOサミットで、アメリカや欧州諸国にそんな不満をぶちまけた。ロシア軍を撃退するために、「際限のない軍事支援」をしてくれないと困ると強く要求したのである。

世界が称賛する「英雄」にここまで言われたら、西側諸国も断れない。もともと各国の軍部からは、「ミグ戦闘機などを欲しがるだけ提供すべき」という声も上がっていたので、ウクライナ軍に最新兵器が提供されるのも時間の問題だ。

そうなると、アメリカの「舎弟」である日本も、「いや、うちは憲法9条あるんで、カネだけ出します」なんて言い訳は通用しない。これまで防衛装備移転三原則の運用指針を変更して、どうにか防弾チョッキなどの提供をしているが、西側諸国からもっと戦闘に役立つものを提供せよとプレッシャーをかけられる可能性も高い。

また、この流れでいけば「後方支援」の名のもとに自衛隊の欧州派遣の可能性もある。現在、米軍とNATO軍はウクライナを囲むように東欧諸国に即応部隊を派遣、日本もポーランドに自衛隊の医官を派遣しているが、戦いが長期化すれば「日本も部隊を出してちょっとは貢献しろよ」と迫られるはずだ。

“降伏論”を唱えた人はバッシングを受けた

そう聞くと、「世界的な危機に日本も協力をするのは当然だ」と感じる人も多いだろう。「#プーチンは人類の敵」というハッシュタグができているように、ネットやSNSでは、核や化学兵器の使用も囁かれるプーチン大統領を食い止めるためには、「戦争反対」なんて甘っちょろいことを言ってられないという意見が増えているからだ。

実際、ロシアの侵攻開始時、ワイドショーのコメンテーターの中には、「国民の命を守るために抗戦せずに退避をする選択肢もあるのでは」という“降伏論”を唱える人もいたが、「ロシアに奴隷にされるのがわからないのか」「ウクライナの人々に謝れ」などとバッシングを受けている。また、ロシア国内での営業継続を表明していた企業も「日本の恥」などとボロカスに叩かれた。

今、ウクライナで起きていることは「人類の敵・プーチンを倒す正義の戦い」であって、そこに非協力的な態度や「反戦平和」などを軟弱な姿勢で臨むことは、日本人として許されることではないというムードが強まっているのだ。

それをさらに後押ししているのが、「日本を守るため」にもこの戦いを積極的に支援すべきといういわゆる「集団安全保障」の視点である。