自動車販売収入の急増が黒字化の原因なのか

それでは正解の発表です。正解は選択肢①がテスラの最新の損益計算書でした。実は直近の2020年度になって、営業利益が黒字に転換したのです。黒字転換の背景を、決算数値から解説していきます。

正解は選択肢1
図表=筆者作成

まず、テスラの売上構成をご覧ください。売上高の約8割が「Automotive sales」で構成されていますね。日本語に直すと「自動車販売収入」となります。これは、電気自動車を販売して得た収入ですね。

テスラ:売上構成
図表=筆者作成

実は、自動車販売収入は増加し続けています。特に2019年から2020年にかけては、前年比+30%も増加しています。この背景には、2019年秋に稼働を開始した中国・上海工場でModel3(廉価版の電気自動車)を大量に製造できるようになったことが挙げられます。

自動車販売収入が増加
図表=筆者作成

そのため、テスラが開示している総出荷台数は前年比+75%、総生産台数は前年比+88%と急増しています。

Model3の総出荷台数・総生産台数が急増
図表=筆者作成

このように、自動車販売収入が急増したことで、営業利益が黒字になったように見えますね。

黒字化を支えた「CO2排出権」

このほかにも要因があるかもしれないので、改めてテスラの売上高の内訳を確認しましょう。すると、「Automotive Regulatory Credits」という見慣れない項目があります。2020年度には、この売上が約15億ドル計上されている状態です。

売上高の内訳
図表=筆者作成

「Automotive Regulatory Credits」を日本語に訳すと、「CO2排出権取引」となります。一言で表すと、ほかの自動車メーカーに「CO2排出権」を販売して得た収益です。

実は、自動車メーカーには「CO2排出量の上限」が排出権という形で与えられています。その権利で許容されたCO2排出量を超える場合には、CO2排出権が余っている他社から排出権を買い取らなければなりません。

この取引制度は、1990年にアメリカ・カリフォルニア州で始まったものです。現在は、アメリカのニューヨークやマサチューセッツなどほかの州や、EUでもこの制度が取り入れられるなど、広がりを見せています。