小池百合子

1952年、兵庫県芦屋市生まれ。エジプト国立カイロ大学を卒業後、アラビア語の通訳として活動。「カダフィ書記長、アラファトPLO議長会見」のコーディネーター兼インタビュアーを務め、その実力が評価されてテレビ東京ワールドビジネスサテライトの初代メインキャスターとして活躍する。92年、参議院議員に初当選。衆議院議員に転じ、5回の当選を果たす。環境大臣、内閣総理大臣補佐官、防衛大臣を歴任。自宅では、愛犬「ソウちゃん」が主人の帰りを待っている。


 

着物を着ると思い出すのは、カイロ大学への留学時代。私、卒業記念にピラミッドに上り、着物を着てお茶を点てたことがあるんです。ピラミッドの登頂は禁止だったかもしれませんですが、まぁ、私も若かったので(苦笑)。上るときはジーパンにスニーカーで、頂上で着物に着替えました。とはいえ、自分で着たことはなく、持って上がったのは簡易帯。実はこのとき、着物の合わせを逆にしてしまった。写真を撮ったのに、恥ずかしくて人に見せられない。だから、ちょっと強引とも思いましたが、フィルムを反転させて焼きました(笑)。

着物を着て伺うのに「すがも田村」は、ぴったりのお店ですね。女将さんは、女優の藤村志保さんの妹さん。藤村さんのご主人は、私がキャスターをしていたニュース番組ワールドビジネスサテライトの制作にあたっていらして、そのご縁もあり、会合などで使わせていただいています。巣鴨駅から近いのに、とても静かで寛げるんです。

焼き鳥「武ちゃん」も、寛げるという点では共通しています。ただし、ここは至って気さく。銀座なのに値段も安く、抜群においしい。ここの焼き鳥を食べたら、ほかでは食べられません。外国からのお客様にも喜ばれます。人気の店なので待つこともありますが、私もちゃんと並びますよ。ある時、列についたら、前にいらしたのが、元駐米大使の斎藤邦彦さん。並んでいる間に会話も弾んで。そういう楽しさもあるんです。

食に関して、今、関心があるのは江戸野菜。練馬大根、小松菜、千住ねぎ、滝野川ごぼうなど、江戸の伝統野菜はたくさんあります。東京は年々、農地が減少していますが、江戸野菜を生産者、販売業者、消費者が三位一体で守り立て、京野菜のようにブランド化したい。農業への関心も高まり、食や環境に目を向けるきっかけにもなると思います。

江戸時代には、三里四方で採れたものを食べると、健康にも、地域経済にもよいという考え方があったそうです。「地産地消」が当たり前に実践されていたんですね。ほかにも、ヒントにしたいことはいろいろ。たとえば、江戸では人の屎尿も肥料として売り買いされ、循環していた。面白いのはそんなものにまで身分差があって値段が違う。一番高値がつくのは、武士のもの。理由はいいものを食べているので栄養があるからだという。環境対策もビジネスになれば、上手く回るといういいお手本です。

私自身が進めている環境対策はエコハウス。太陽光発電、屋上緑化、雨水利用などを取り入れた自宅を建設中です。80歳を超えた両親や犬と一緒にそこで暮らし、エコ技術を実体験しようというわけです。完成は来春。今から楽しみです。