女性の政治家が増えない理由

なぜ日本には女性政治家が少ないのでしょうか。現状では、政治家のほとんどを中高年の男性が占めています。彼らが引退し、世代交代が進めば女性も増えてくるかもしれませんが、果たして国民がそれを望んでいるのかどうか。今のところ、国民の間で「女性政治家を増やそう」という声はそれほど大きくなっていないように思います。

2018年には、女性の政治進出を促そうと「政治分野における男女共同参画推進法」が成立し、男女の候補者数をできる限り均等にすることが決まりました。しかし、これはあくまで努力目標です。政治家と国民が一体になって「何としてでも女性政治家を増やそう」と思わない限り、真の均等が実現するのはまだ先になるでしょう。

経済分野の問題点は男性的な働き方

一方、経済分野ではどうでしょうか。スコアでは中間クラスに収まっているものの、「管理職ポジションに就いている男女の人数の差」では世界に遅れをとっており、企業における女性リーダーが相変わらず少ない様子が見てとれます。

政治分野に女性リーダーが少ない理由としては、世代交代が進んでいないこと、女性政治家を望む国民の声がまだ大きくなっていないことなどが考えられました。しかし、経済分野の理由はまた少し違います。

現在の日本企業では、労働時間が長い、転勤が多いなど、いまだ専業主婦ありきの働き方が主流になっています。この働き方のままで、管理職ポジションに女性を送り込もうと思っても無理でしょう。実際、女性からも「家事育児と両立できないから管理職はやりたくない」という声が上がっています。

こうした旧来的な働き方を変えることができれば、女性の管理職比率も変わってくるはずです。なのに、現状では「○年までに女性管理職を○人に」と数値目標だけを設定して、働き方は変えない企業がほとんど。これでは、一度は数値をクリアしても後が続かないだろうと思います。

海外の企業では、女性管理職を増やすよりも、男性的な働き方を抑制していくことによって男女の人数差を縮めてきました。日本はこの点に気づくのが遅く、数値目標の達成や女性支援にばかり力を入れてきた経緯があります。本来なら、男女共同参画をうたい出した時点で、まず働き方改革に着手すべきだったのではないでしょうか。

この点、これまではなかなか進まなかったリモートワークや時差出勤が、新型コロナウイルスの感染拡大で一気に取り入れられるようになりましたから、コロナ後に元に戻すのではなく、これらの柔軟な働き方を維持・発展させていけるかどうかが重要なポイントになってくるでしょう。