電車内で何気なく目にする車内TV。さまざまなCMやコンテンツが流されているが、このように液晶ディスプレーを利用して情報発信するメディアおよびシステムを「デジタルサイネージ」(DS)という。

今年2月、ローソン、NTTドコモ、アサツー ディ・ケイが、コンビニ店舗でDSを使って広告を配信する合弁会社を設立した。DSは電車内DSに代表されるように交通広告が主流だったが、商業施設にも広がりつつある。

そもそもDSが広まったのは、薄型ディスプレーの価格下落が主な要因。矢野経済研究所は、DSの日本市場は2013年度には約809億円にまで成長すると予測している。中国企業にはDSに特化した事業で米国市場に上場した会社もあり、世界的に見ても広告産業の一翼を担いつつある。

今後DSはさらに進化を遂げそうだ。大和総研新規産業調査部・藤巻潤一氏は、「今までDSの設置場所は交通機関や店舗が多かったが、今後は街中などにも広がっていくだろう」と語る。09年4月にはヤフーなどが、福岡市内を中心とした交通機関やコンビニ、大型商業施設など500面以上に設置した端末を用いて実証実験を行った。

だが、普及には壁もある。まず、日本ではDSのネットワーク化が進んでいない点。ネットワーク化はリアルタイムでの情報配信に必要だが、初期投資も重い。米ウォルマートは全店をネットワーク化したDSを導入して成功したが、約1000万ドルを投じている。投資額のわりには広告効果が測りにくいのもネックとなっている。