やりがいを見いだそうとする姿勢が高評価に

紹介事業本部の管理職全員で記念撮影。数人でスタートした部署はここまで成長した(2018年)

「夢がかなった瞬間でした。30代に入って、もうこのままずっと営業なのかなとあきらめかけていたので、心底うれしかったですね。編集職は本当に楽しくて、毎日ワクワクしながら仕事に取り組んでいました」

ところが翌年には出版不況に陥り、その雑誌の編集部は解散してしまう。それだけでもショックだったのに、同僚たちが他誌の編集部へと散っていく中、山本さんだけがキャリアバンク事業部に異動。職種も営業職に逆戻りし、涙が止まらなかったという。

会社からすれば、新しい事業を成長させるためには山本さんの営業力が欠かせないという判断だっただろう。だが、本人からすれば、編集職に就く上で武器になった営業手腕が、今度は意に反した異動の決め手になってしまった形。「こんなはずじゃなかった」とモチベーションは急降下した。

「人生最大のピンチでした。転職も考えましたが、応募者として人材紹介会社を回ったら、私の経歴だと編集職より営業職のほうが圧倒的に有利だったんです。それならと覚悟を決めて、目の前の仕事に真正面から向き合うことにしました」

気持ちが上向き始めると、仕事の面白みも見えてきた。さまざまな業界の人と会い、募集企業と応募者のマッチングに駆け回る日々。新設の部署だけに自由度も高く、自分の工夫次第で売り上げが伸びていくところにやりがいを見いだした。2年も経たないうちに、山本さんは部署全体の8割を売り上げるトップ営業マンに成長。課長を経ることなく、いきなり部長に抜擢ばってきされた。

組織の中で働いていれば、思い通りにならないことも多々起こる。だが、やりがいを見いだそうと進み続けたことがキャリアの成長につながった。今では、編集部で過ごした日々を「奇跡の1年」と宝物のように語る山本さん。この前向きな姿勢が、さらに次の扉を開いた。