社員の意識改革を目指してセミナーを開催しても、なかなか参加者が集まらない。自主参加制だからか、それともゆるキャリ志向の人が多いからか──。悩む相談者さんに、サンスターグループ執行役員の鈴木久美子さんが、原因と解決法をわかりやすく解説してくれました。
◆今回のお悩み
セミナーを開催しても自主的な参加者が集まりません
私は保険会社に勤務しており、転職して1年目です。現在、本来の業務とは別に社内の有志によるネットワークに参加し、「文化の変革の推進」「ネットワーキングの推進」「女性のキャリア開発支援」「ビジネス価値の創出」を柱に、推進委員として活動しています。
出身は東京ですが、前職では全国に転勤し、主に都市圏で働いてきました。現在の勤務地は九州の地方都市であり、同僚のキャリアアップ志向や仕事に対するモチベーションに、今までとは違うものを感じてきました。
そこで、キャリアアップやダイバーシティについて意識改革を図りたいと考え、セミナーを企画開催しています。しかし、任意参加だとなかなか思うように人が集まらず悩んでいます。
地元採用の地域限定社員が多いからかもしれませんが、私としては、一緒に働く社員の皆さんに広い視野も持ってもらいたいと思っています。興味がない人に無理強いするわけにもいきませんし、何かいいアドバイスがありましたらぜひご教示いただけないでしょうか。(41歳・保険会社勤務)

まずは皆の学びたいテーマを探ってみて

有志のネットワークチームで自主的にセミナーを開催されているのは、すばらしいことだと思います。でも、主催者には「人が集まらない」という悩みがつきもの。私も広報としてたびたび記者発表会を開催してきましたが、最初は「誰も来なかったらどうしよう」と不安でいっぱいだったものです。

このニュースは記者さんを集めて紹介する価値があるのか、わざわざ足を運んでくれた人にそれだけのメリットを提供できるのか、本番まで何度も自分に問い直していました。広報担当になった当時は来場者も少なめでしたが、そのたびに工夫して、何度も開催していくうちに段々と人が増えていきました。

相談者さんは、セミナーのテーマとして「文化の変革の推進」などを柱にされているそうですが、もしかしたら社員の皆さんが求めているのは違うテーマなのかもしれません。確かに、相談者さんが挙げたテーマは、どれも企業の今後にとって重要なものです。ただ、現状を伺うと、社員の方々が学びたいこととは少し距離があるのかも? と思いました。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/metamorworks)

まずは第1ステップとして、皆さんのニーズを探ることから始めてみてはどうでしょうか。上司や同僚と積極的にコミュニケーションをとって、今知りたいことや学びたいことについて率直な意見を聞いてみてください。その上で、皆のニーズとご自身の目標が重なる部分を探していきましょう。きっと、次のセミナーのテーマが見えてくるはずです。

ニーズを探った結果、相談者さんの志とはまったく違う結果が出るかもしれません。だからと言ってあきらめないでほしいのです。身近なテーマから始めて、少しずつ意識を改革する方向へ導いていくやり方もあります。いずれにしても、意識改革は時間がかかるもの。一気に進めようとしない、上から目線にならない、ただし当初の志はしっかり持ち続ける。この3点を大事にして、社員の皆さんに近い場所から始めてみていただければと思います。