20代
向いていない業務もこなすことで、自分の適性が見えてくる

ヒューマンスキルを身につけよう

20代は、与えられた仕事をきっちりこなしつつ、さらに、否定されるのを恐れずに新鮮な提案やアイデアをどんどん出していくべきです。しかし、徐々に仕事や会社を俯瞰(ふかん)して見る余裕ができると、新たな悩みが出てくることも。

イラスト=上坂じゅりこ

「やりたいことができない」「どうせ、組織の歯車にしかなれない」などと悩む人もいますが、若いうちは「やりたいこと」だけに固執しないほうがいいのです。いろんなことに挑戦し、自分の適性を知ることが大事。人と接することが苦手だから営業は無理だと思っていたのに、やってみたら意外にお客さまから喜ばれる存在になれた、という例もあります。自分では不向きだと思っていた業務でも、隠れた才能や適性がどこで開花するかわかりません。それに、「不適在不適所」な環境に置かれることで、自分の本当の得意分野や欠けている部分を知ることができます。

ただ、どうしてもあきらめきれない仕事がある、と前向きな情熱があるのなら、早いうちに転職を考えてもいいかもしれませんし、大学院に入るなどの学び直しもいいでしょう。早い時期から自分の夢をあきらめて40代、50代で後悔したくないですからね。

また、「ヒューマンスキル」を磨くことを忘れないようにしましょう。特にアサーション(相手と自分を思いやるコミュニケーション)のスキルは、早いうちから身につけておくのがベター。自分が言いたいことをいかにきちんと伝えるかが重要です。忙しくて手一杯のときに新たな仕事をたのまれたら、「無理です!」と断るのではなく、自分の今の状況を説明し、譲歩案を出してみる。アサーションは、友人、夫婦などあらゆる人間関係で使えるので、人生がグンとラクになります。

「自分は自分、人は人」という意識の確立も必要。20代は学生時代からSNSありきの環境にいますが、他人の“リア充”を見るにつけ、自分の生活や仕事ぶりにガックリくることも。他人の一見すてきな日常は、半分スルーするほうが、精神衛生上よさそうです。

▼20代の悩みに、キャリアカウンセラー・錦戸かおりが回答!
Q いまだにアナログ仕事で業務量が多い。今後もこれが続くと思うと気が重くてしょうがない
A いずれ変化は来る!

“今がすべて”ではありません。2、3年後には環境も自分も変化していることを念頭に行動すべきです。まずは自分なりに目の前の仕事を効率化してみて。
Q 思ったことをすぐに口に出してしまうタイプ。周りとうまくいかず仕事がしづらい
A 相手の話も聞いて

コミュニケーションは、伝えたら終わりではなく、相手がそれをどう受け止めるかが大事。相手の話もよく聞いて、理解し合える関係をつくりましょう。
Q 学生時代から憧れていた業界とは違う会社に就職。あきらめきれないなら転職したほうがいい?
A 自己分析から始めよう

まずはなぜその業界に魅力を感じるかを分析し、自己理解を深めてください。現状の仕事にその魅力が全くないのであれば、転職を考えてもいいでしょう。