子供の成績を伸ばすには何が有効なのか。中学受験塾講師の松本亘正氏は、著書『合格する子どものすごい伸ばし方』(かんき出版)で、4つのタイプに分けて、「声かけ」のポイントを解説している。そのうち「コツコツタイプ」の子どもは、手間がかからない分、親の声かけが逆効果になるリスクが高いという。真面目なのに突如スランプに陥り、模試の偏差値が10も下がった女の子。彼女が親の声かけで「逆転合格」するまでを松本氏が紹介する――。

突然スランプに陥った娘を救った母親の「声かけ」

中学受験専門の塾の代表として、これまでに2000人以上の小学生を指導してきました。塾からは、毎年、麻布や武蔵、桜蔭などの難関校を含む中高一貫校の合格者を出しています。

筆者の最新刊『合格する子どものすごい伸ばし方』(かんき出版)

その経験から、子どもには主に4つのタイプがいると分析しています。それは、「一点集中タイプ」「コツコツタイプ」「お調子者タイプ」「のんびりタイプ」です。簡単にそれぞれのタイプを解説しましょう。

「一点集中タイプ」:天才的、独創的。集中力は抜群で自分でどんどん物事を進めていく。まわりの声が聞こえなくなったり、忘れ物をしたりすることも多い。

「コツコツタイプ」:小さなことからコツコツ地道に努力して真面目。叱られると傷つきやすく、周囲からの評価を気にする面も。

「お調子者タイプ」:つい親が口出ししたくなってしまうタイプ。感情的になることや、手抜きをすることがある。いい意味でも図太さがあり、意外と本番に強い。

「のんびりタイプ」:まわりを気にせずどこまでもマイペース。周囲から好かれるが、勉強では苦労することも。親や周囲の大人のサポートが重要。

▼超難関校を目指すコツコツタイプの女の子の伸び悩み

塾講師としては、比較的指導が楽なのは、努力家の「コツコツタイプ」です。小さな子どもが自らを律して、遊びの誘惑を振り切って、毎日勉強をするわけです。宿題もきちんとやってきます。しかし、だからといって100%第一志望に合格できるわけではありません。長年の講師経験の中には、そうした頑張り屋さんにかかわらず、上昇軌道に乗せられない苦しさを味わったケースもありました。

都内の超難関校を目指して、小学3年生のときに入塾し、頑張っていた女の子がいました。両親のバックアップ体制も万全で、父親が娘の勉強の計画を綿密に立てていました。伸びていく子の典型で安心して見守っていたのですが、どういうわけか6年生になってから急に成績が伸び悩み始めたのです。