昼食なんていらない
私には社会人1年目から21年間ほど続けている習慣があり、これがいかに人生にとって有益だったかとしみじみ感じている。それは「昼食を食べない」という習慣である。
もともと「摂取したカロリーよりも消費カロリーが多ければ太らない」というダイエットにおける大原則は強く意識していた。そして当たり前のことだが「食べ物の摂取量を減らせば、消費しなければならないカロリー量が少なくて済む」とも考えていた。それを実践するもっとも手っ取り早い方法が「一食抜く」だった。開始してすぐ「こりゃいいわ」と思うに至り、結局、昼食ナシ人生を21年も続けている。
この習慣を長期間継続できたのは、「太りたくない」という気持ちがあったことに加え、「腹が減っていなかったら、わざわざ食べる必要はない」ということを理解したからである。
入社1年目のとある春の日。朝食を9時に食べた後、昼休みの12時に同僚からランチに誘われた。しかし、朝食からまだ3時間しかたっていないため、腹が減っていないので断った。「新入社員のくせに、先輩からの誘いを断るなんて生意気だ」と思われたかもしれない。とはいえ腹が減っていないどころか、まだ朝食を完全に消化しきれていないような状態では、食べ物をさらに胃袋へ追加する気になどなれるわけもない。
昼休みの静かな職場で仕事がはかどる
結局、その日は昼休み中も仕事を続けたのだが、余計な電話に追い立てられることもなく、静かな環境で作業を進めることができた。当時はまだ「電話文化」が色濃かった時代であり、ビジネスアワーのオフィスには電話がジャンジャンかかっていた。新入社員である私は半ば電話番のような役割もあり、電話の取り次ぎに多くの時間を取られていた。
でも、ビジネスの現場には「基本的に昼休みには取引先に電話をかけない」といった暗黙の了解があるので、12時から13時ごろの時間帯にはあまり電話が鳴らなかった。すると仕事が大変はかどるのである。
さすがに15時あたりになると腹が減ってきたが、あめ玉をなめたら空腹感は抑えられたような気がした。そうして19時におなかペコペコの状態でおいしく夕食を食べることができた。9時の朝食から夕食までの10時間、あめ玉以外の食べ物はこれといって摂取していない。そして思った。「別に昼食っていらないじゃん」と。