ビジネスで成功するには、まず「機会」を与えられなければなりません。どれだけ能力が優れていても、「場」を与えられなければ、その人の存在は誰にも知られることはないのです。能力に差がなくても、機会が与えられた人とそうでない人とでは、結果として大きな差がついてしまいます。どうすれば、チャンスをもらえるのでしょう――。
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指名率が命運を握る

この仕事を誰に依頼しようか。この問題を誰が解決してくれるだろうか。

こういった場面で、顧客が自分を思い出してくれるか――。それによってビジネスパーソンの命運は決まる。すぐに思い出してもらえる人は、何をするにも指名率が高くなり、チャンスが広がる。

人間の脳は「覚えること」よりも「忘れること」が得意で、覚えては忘れることを何度も繰り返すうちに、その情報が重要だと判断すれば、記憶に刻む。消去しても消去しても、その情報が何度もインプットされたら、記憶に残るという仕組みだ。意思決定者(裁量権を握っている人)の記憶に残れば、何かあるごとに思い出してもらえ、機会が与えられる可能性が高まる。

脳で記憶を司る場所を海馬(脳の中で、記憶や空間学習能力に関わる脳の器官)と呼ぶが、海馬での記憶の保存期間は1カ月ほどしかない。1カ月以内に再び学習するか復習しないとその記憶は忘れ去られる、といわれている。こうした人間の脳の特徴を踏まえたうえで、折りに触れて意思決定者に思い出してもらえる人になるには、どんなことをすればいいか、考えてみたい。