パソナ東北創生 代表取締役社長
戸塚絵梨子
さん 31歳 独立

ボランティアから被災地を支援する、社内ベンチャー設立

「人の人生に携わる仕事」がしたくてパソナに入社した戸塚さん。入社2年目に東日本大震災が発生。社内の先輩について被災地へ赴き、復興支援を手伝ったが、「週末だけの支援では足りない」と、後ろ髪を引かれた。

戸塚絵梨子さん

入社4年目、ボランティア休暇制度を利用して9カ月間、岩手県釡石市に滞在してまちづくりに取り組むと、釡石への思いがいっそう強くなっていく。

そして28歳のとき、グループ代表の南部靖之氏から招集がかかる。「パソナが東北でできることは何か」と聞かれ、「ボランティアではなく、仕事で何かできることがあるかも」と事業計画を書き始めた。そして社内ベンチャーに応募。プレゼンの場で「本気で取り組むなら会社をつくるべき」と南部氏に促された戸塚さんは「本気です」と即答。それがパソナ東北創生の設立につながっていく。

「当初は仕事がなくて本当に大変でした」と苦笑するが、事業の幅を広げ、3年目でようやく黒字転換。今は東京と釡石を行き来しながら創業や移住のサポートを行い、被災地での新しい生き方や働き方の創出を目指している。

▼戸塚さんの幸福度の変化
24歳:社内の有志とともに週末に復興支援に取り組む 30%↑
28歳:社内ベンチャーで会社設立。経験がなく苦しい毎日が続く 10%↓
31歳:会社が少しずつ軌道に乗り始め、社員メンバーが増える 70%↑

(文=新田理恵 撮影=遠藤素子)
貫井園(お茶・原木しいたけ栽培)
貫井香織
さん 39歳 転職2回

実家の農園に入って、新商品や海外市場を開拓

貫井香織さん●埼玉県入間市にある貫井園。原木にしいたけの種を植え、2年かけてじっくり育てる。

好きなことには夢中になってのめり込む性格。大学卒業後に勤務した採用コンサルティング会社、PR会社でも仕事に没頭したが、どちらも顧客の成長を助ける仕事。

「いつか自分が手がけた商品を発信したいと思うようになり、そういえば実家がしいたけを作っていたな、と思い出したんです。両親からは『家業は継がなくていい、好きなことをやりなさい』と言われて育ち、それまでは関心がなかったんですけどね」

29歳で就農。原発事故後の放射能問題でしいたけが出荷停止になるなどの試練もあったが、「しいたけカレー」「しいたけソルト」などの加工品を開発してレストランに販売したり、海外への輸出を目指す国内農家のネットワークを組織してフェアを開催するなど、精力的に活動している。

「決められたことをやるだけ、というのが一番苦手(笑)。面白そうだと思って動くと、人とつながりができ、次にまたやりたいことが見つかる。自由に動ける今がとても楽しいんです」

 

▼貫井さんの幸福度の変化
29歳:実家の「貫井園」に入社。多くの人に農産物を届けようと決意 85%↑
32歳:東日本大震災後、放射能問題で大打撃を受ける 80%↓
38歳:有志17人で「日本農業女子フェアin香港」を開催 85%↑

(文=瀬戸友子 撮影=加藤 梢)