政府は起業を増やそうと、さまざまなベンチャー支援策を実施しているが、欧米に比べると起業のハードルは高い。一歩を踏み出す人を増やすために必要なこととは?
中島星沙さん●物流会社の経営企画部に勤務。経営トップの近くにいることが多く、起業への憧れをもっている。
淺場理早子さん●レンタルドレスの店舗を運営するC'zを起業。2017年で9期目。起業サポートの会社も立ち上げた。
千田はるかさん●ベンチャーキャピタル勤務。起業家や投資先を支援するプログラム運営を担当している。

※グロービス経営大学院公認クラブ「グロービス・アントレプレナーズ・クラブ」の3人の方にお集まりいただきました。

国の起業家支援制度の告知が足りない

【淺場】IT企業に勤務後、9年前にC'z(シーズ)という会社を立ち上げ、レンタルドレスサロンなどを経営しています。

【千田】私はベンチャーキャピタルの会社に勤めています。起業家予備軍や起業する人をサポートしてきましたが、正直、自分が起業するかというと、実情を知っているだけに慎重になりますね。

【中島】私は物流系の会社で経営企画や人事の仕事をしています。いずれ起業をしたいという思いがあって今、グロービス経営大学院で学んでいるところです。

淺場理早子さん

【淺場】日本で起業を決断する人はまだまだ少ないと言われるけれど、どうしてだろう? 精神的なハードルが高いのかな。

【千田】そうですね。投資会社からの出資を受けるような規模の事業を立ち上げるなら、3年間は私生活も犠牲にして仕事に集中しなければいけない。女性がこれから結婚、出産をするかもしれない、趣味も楽しみたいというときに起業するのは、現実的に難しいのでは。

【中島】たしかに、淺場さんのように実際に起業している方には並外れたバイタリティーがあり、お会いして衝撃を受けました(笑)。

【淺場】例えば自分のできる範囲でできることから始めてみるとか?

【千田】副業的なスモールビジネスなら、まだ始めやすいかもしれませんね。それにしても起業のコミュニティーから女ははじかれがちというか、アウェーなんですが。

【淺場】うーん、千田さんは白黒はっきりさせたいタイプだね(笑)。確かにそういう面もありますが、金融機関には女性起業家を優遇してくれるような支援もあります。

【千田】公的なサービスでは、東京都が頑張っています。女性向けにキッズルーム付きの「スタートアップ・ハブ・トウキョウ」もつくりました。それに比べ、国全体、政府の支援制度は知られていない。アベノミクスには起業促進も含まれるはずなのですが……。

【中島】私も調べてみたんですが、経済産業省の支援があることを今回調べて初めて知ったぐらい。「働き方改革」と同じぐらいもっとPRしてほしいところです。