高年収を求める傾向が強くなってきた

トップ10に共通する傾向としては、初任給が高いといった点も無視できません。業務内容やハードワークと引き替えに、外資系戦略コンサルティングファームでは1年目から年収500-700万円、外資系投資銀行(フロント部門)では800-1200万円といった水準の給与が支払われます。投資銀行は2年目から1000万円を超えることが多く、コンサルでも昇進すれば1000万円を超えます。年功序列という側面はまったくなく、成果ないしは期待値で評価されます。よって自分より年上の部下は当たり前のようにいますし、かつての部下が上司になるといったことも頻繁に起こります。

こういった給与体系は外資系のソフトウエアエンジニア職でも増えています。Googleでは初任給で800-1000万円を提示するケースもあるようです。ただしそうした人材は限られています。東大の情報理工学系研究科には、よくGoogleがスカウトしにきているそうです。

大手総合商社や、電通といった当会員に人気の高い日系企業であれば、残業の多寡にもよりますが、1年目は400万円ほどで、20代のうちに1000万円前後まで上がっていくといったケースが多いようです。1年目の給与は決して高くありませんが、じわじわと給与が上がっていく印象です。そのほか上位にある企業を見ると、比較的年収の高い企業が多いのが特徴的といえるかもしれません。ただ日系企業の多くは年功序列・終身雇用を前提とした給与体系ですので、上がっていくペースは外資系企業と比較すると緩やかです。

バブル崩壊以降、多くの日本企業が凋落していく中で、終身雇用を信奉する学生は次第に減っていきました。「実力主義」を掲げる企業が増えるなかで、「若いうちから成長して、成果に応じた給料をもらおう」と考える学生が増えていると感じます。

三菱・三井という国内最大のブランド

それでは日系企業である総合商社が上位にランクインする理由はなんでしょうか。総合商社は事業規模が途方もなく巨大です。「ラーメンからロケットまで」と称されるほど事業は多岐にわたります。そのために優秀な人材を継続的に採用し、海外に派遣しつづけてきました。最近では貿易会社から投資会社へと事業モデルを変えつつあり、鉄道や水といった国家インフラの輸出にも大きく関わってきます。

これだけのスケールで事業を展開する企業はなかなかありません。特にどこかの業種・業態に肩入れしているわけでもないので、志望業界が定まっていない学生にも訴求できます。三菱・三井という国内最大のブランドも冠しており、トップ校からのエントリーを集めやすいのでしょう。

総合商社での配属先は、内定後、面談を通じて決定されます。資源・インフラ・海産物・農産物など、生産物それぞれの貿易について専門的知識を高めていき、昇進で差がつくのは入社10数年がたってからです。このためキャリアアップを目指すといった側面よりも、総合商社といった業態で専門性を磨いていくという特殊な職種でもあります。20代であれば商社とコンサルの行き来は多く、「まずコンサルであわなかったら商社に行こう」と考える学生も一定数います。

日系では電通も根強い人気があります。顧客企業と深い関係性を築きながら、マーケティング戦略を一手に引き受けます。コピーライターやCMプランナーを目指すクリエイティブ方面を目指す学生にも、とても人気のある会社です。労務問題の影響で、2019卒では人気を落としてしていますが、毎年学生からの人気が高く、優秀な人材を採用しています。