「『緑のたぬき』の化けの皮を剥ぐ」

週刊誌は一斉に小池たたきを始めている。その記事の見出しはどれも痛烈だ。

たとえば10月19日号の週刊新潮。「傾国の『小池百合子』」という見出しに続けて「ユリノミクスは『ユリコのミス』」「倒幕が『応仁の乱』に変質」「小池政治の正体見たり」と続く。

「傾国」という表現は何だろうか。「デジタル大辞泉」によれば、傾国とは「君主が心を奪われて国を危うくするほどの美人。絶世の美女」とある。「絶世の美女」かどうかはともかく、小池氏の希望の党の立ち上げ自体が「国を危うくする」と強調したいのだろう。

同じく10月19日号の週刊文春はもっと過激で、「小池『緑のたぬき』の化けの皮を剥ぐ!」と大きな見出しを新聞広告に出した。見出しはさらに「衆院選出馬に『リスクが大き過ぎる』と尻込み」「リベラル『排除』発言には「早かったわね」と後悔」「都合が悪くなると『リセット』」「22日投票日はパリに高飛び」などと小池氏を揶揄している。

雑誌は新聞と違い、見出しで買わせないといけない。だからその見出しは強烈になる。だからといって、手のひらを返すように一斉に「小池たたき」に走るのはどうだろうか。相手が弱くなると、とことん攻撃する。真のジャーナリズムとは、ときの権力に立ち向かうべきものではないだろうか。

朝日社説「指摘しておかねばならないことがある」

「森友学園」や「加計学園」をめぐる疑惑の解明は、今回の衆院選の大きな争点であり、原点だ。いまメディアにとって大切なのは、各党が選挙戦を通じて森友・加計問題の解明をどう有権者に訴えているかを点検することではないだろうか。

こんなことを考えていたら、「衆院選 安倍首相」「説明になっていない」という見出しの朝日新聞の社説(10月12日付)が目に付いた。

「安倍政権の5年が問われる衆院選である」と書き出し、「安全保障関連法やアベノミクス、原発政策など大事な政策論議の前にまず、指摘しておかねばならないことがある」と指摘する。

「指摘しておかねばならないこと」とは何か。朝日社説は「森友学園・加計学園をめぐる首相の説明責任のあり方だ」と答え、「首相やその妻に近い人が優遇されたのではないか。行政は公平・公正に運営されているか。一連の問題は、政権の姿勢を問う重要な争点である」と訴える。実に分かりやすい主張である。