フリーランス協会共同代表理事 田中美和さんからの提言

▼雇用されていることを前提とした、制度やシステムの見直しを!

昨年4月に発表された「フリーランス実態調査」(ランサーズ)によれば、日本における広義のフリーランス数は1064万人に達し、前年比で17%増加しています。その45%が「自由な働き方ができることがモチベーションとなっている」と回答しており、多様な働き方を望む人々がフリーランスという働き方を選びつつあります。

一方で、これまで「雇用される働き方」が主流だったため、組織に属さず個人で働いていくうえでは課題・環境整備の必要性があるのも事実です。

そもそも「フリーランス」という働き方に適応した法律が日本にはありません。下請法は存在するものの、時代の変遷とともに事業者の資本金規模や取引内容が当てはまらないケースが出てきています。また、インターネットを介した個人間の受発注も活発になってきています。政府には新しい時代に即した法律あるいはガイドをぜひ検討してもらいたいと思います。

さまざまな社会システムも「雇用されている」ことを前提としたものが多い。例えば、保活や学童応募にあたって提出するフォーマットや選考基準がフリーランスの実態に即しておらず、会社員に比べて不利になりがちである点などもぜひ政府・各自治体に一考してほしい点です。

そして、社会保障や税制面における会社員との格差も大きな問題です。具体的に言えば、フリーランスは労災保険、雇用保険の加入対象外で、国民年金・国民健康保険に自身で加入(全額自己負担)となります。住民税などは前年の所得に応じて課税されるので、独立1年目のフリーランスには負担が大きいという声もよく聞きます。すぐに解答は出せませんが、新たな時代の働き方に即した社会保障と税の一体改革もぜひ検討をお願いします。

写真=市来朋久