ウソかマコトか、判別のつかない情報が次から次へと押し寄せる現代。SNSを見て不安を解消する、という人もいるだろう。それでいいのか。経営コンサルタントの小宮一慶さんに、良質な情報を効率よく集める方法について聞いた――。

自分の仕事に関わることから始めよう

情報力を高め、その情報の要点を見抜く力を身につける一番の方法は新聞を読むことです。一紙を選ぶならビジネスパーソンであれば「日本経済新聞」ですが、日経新聞に限らず一般紙でも、その日、最も重要だと新聞社が判断している一面のトップ記事は必ず読むようにします。

紙面の中には政治や国際、金融など様々な記事がありますが、リード文がある大きな記事は、リード文だけでもかまわないので目を通しましょう。リード文がない記事であれば、最初の2、3段落を読みます。30秒もあれば読めますから、これを続けるうちに基本的な情報が得られます。

たとえ記事の内容に興味がなくても、「自分の関心を世間の関心」に合わせる訓練になります。そして、自分の関心の幅が広がれば、さらに多くの物事が見られるようになってきます。2カ月もすれば、新聞の「読み方」ではなく「読め方」も変わってきて自身の「基本的な情報」がどんどん蓄積され、読んでわかる記事、理解できる記事が増えていくでしょう。それが自信となって勉強しても面白く感じられるようになります。

勉強が苦手という人はほとんどが学校の勉強を想定しています。多くの勉強は自分の関心のないことをやらされたわけで、嫌いになるのもしかたがありませんが、自分の仕事に関わることを深めるのは面白いはず。日常の仕事をこなして終わりにせず、自分の仕事の本質まで深掘りして勉強するのです。

やればやるだけプラスに、テレビや雑誌でさらに訓練

新聞を使った勉強法はやればやるだけ自分にプラスになるし、仕事にも役立ちます。周りから評価され、褒められることで勉強が楽しくなるはずです。基本や深いところまで勉強しておくとどんな職種についても、たとえば管理職になった場合でも、本質を勉強するやり方がわかっているので応用が利くようになります。

情報入手には新聞以外も活用しています。夜7時の「NHKニュース7」と9時の「ニュースウオッチ9」を見ます。この二つは英語(副音声)で聞いています。英語は日本に関する内容だとわかりやすく、無理なく英語を勉強するには国内ニュースを日本語テロップ付きの英語音声で聞くのが効率的です。ニュースの内容もわかり英語もわかるので一石二鳥です。

雑誌は関心の幅を広げる目的もあって「ニューズウィーク日本版」はいつもカバンに入れてあります。アフリカで起きている飢饉の問題や独裁政権の有り様など普段は気にかけない海外の政治や社会問題のほか、外国人の視点から日本を見る記事もあり、広い視点からものを見る訓練にもなります。