ソフトカバーで厚さ3センチ、450ページ超。全8章に驚くほどのエッセンスとノウハウが詰まっている。でも心配は無用。

<strong>神田昌典</strong>●かんだ・まさのり 上智大学在学中に外交官試験に合格、外務省経済局に勤務。ニューヨーク大学経済学修士、ペンシルバニア大学ウォートン校経営学修士。『非常識な成功法則』など、これまでの著書の累計出版部数は200万部を超える。
神田昌典●かんだ・まさのり 上智大学在学中に外交官試験に合格、外務省経済局に勤務。ニューヨーク大学経済学修士、ペンシルバニア大学ウォートン校経営学修士。『非常識な成功法則』など、これまでの著書の累計出版部数は200万部を超える。

「いちばん読んでもらいたいのは第4章なんですね。1から3章はみなさんに非常に評価が高いのですが、ここまでは背景説明。われわれがどういう環境において仕事をしているかがよくわかる。ただ、現実問題として明日から仕事に役立てるということが必要ですから、全部を読めない場合は、第4章の全脳思考モデル、このチャートをまずは試してください」

これまでの「情報社会」では、外部の情報を分析診断し、内部に取り込むためのフレームワークが重視されてきた。たとえば3C(顧客、競合、自社)分析。ところがいま、時代は情報社会から「知識社会」へと急速に転換しつつある。その時代での底流で何が起こっているかというと、ビジネスマンの「知的蟹工船」化だ。24時間365日、電子メールから途切れなく流れてくる仕事をひたすらこなし、消耗している。扱うのが蟹か情報かの違いだけだ。

「知識社会でいちばん必要なのは、いままでの知識や経験や学習、つまり自分の中にすでにあるものを引き出すためのフレームワークです。相手を打ち負かしシェアを奪うための戦略ではなく、目の前の顧客を120%HAPPYにするためにはどうすればよいのか」

そのためのフレームワークのひとつが全脳思考モデルだ。

「この全脳思考モデルというものを理解してもらうためのいちばんの突破口は、個人的な具体名を明らかにすることにあります。文章であれば誰に読んでほしいか、その人がこれを読んだときにどんな状態になってほしいか。具体的にどうHAPPYにしたいのかを描写する。極端な話、これさえすれば人間というのは発想が浮かぶ。それも良質な発想が浮かびます」

たった一人への共感が何百万人というマスへの共感を呼んでいく。その最大の例として5章と8章では2008年11月4日夜のオバマ演説と、演説をめぐるエピソードが紹介される。

「新しい商品を出すのにターゲットがどうとか、かっこいい言葉でM2とかF2といったりするのではなく、まずは想像からはじめる。分析や診断の体系がない時代には、相手の気持ちになるとか、ほしいものを感じ取るというのは、誰もがあたりまえにやってきたことです」

しかも知識社会とは周りをHAPPYにするプロジェクトであれば、かつてないスピードで実現する社会なのだという。