日本の夫の家事時間は、欧米の夫の半分以下。共働き世帯が増える中、これは大問題だ。家事=妻の仕事という考えを、どう捨てればいいのか。日本総合研究所のアナリスト・小島明子氏が考察する――。

なぜ、家事を「やらされている」と感じるのか?

内閣府によれば、欧米諸国で、6歳未満の子どもを持つ夫が家事に費やす時間は下記のようになっています。

・スウェーデン3.21時間
・ノルウェー3.12時間
・ドイツ3時間
・アメリカ2.58時間
・イギリス2.46時間
・フランス2.30時間

これに比べ、日本は1.07時間

家事時間という点からみても、男女の家事負担には、未だに大きな差があることが窺えます。女性が仕事と子育てを両立させながら就業を継続する、あるいは、一度、子育てなどを理由に離職をした女性が再就職を行うためには、男性の家事参画をより一層進めることが求められています。

本稿では、国民生活産業・消費者団体連合会(以下、生団連)(*注1)が製作した、『男の「ちょいカジ」マニュアル』(2016年12月発行)(*注2)について、生団連 事務局長・佐藤聡司氏、業務部長・佐原信雄氏、新東通信 プロモーションプランナー・八木啓太氏にご協力をいただき、子育て夫婦の家事分担を成功させる秘訣について、夫ができることを考えてみます。

*注1:生団連は、平成23年に設立された、産業界と消費者団体が共に構成員となる日本初の団体。「大災害への備え」、「食品廃棄問題への対応」、「エネルギーと環境問題への対応」、「人口減少と超高齢社会」など日本が直面する諸課題解決に向け、生活者視点で取り組んでいる。*注2は文末に記述。

【こうすると妻が喜ぶ! 夫の家事分担 成功の秘訣1】

▼「ひとり時間」がほしい妻の気持ちを“忖度”する

生団連が、全国の25~39歳の専業主婦・兼業主婦の子供のいる家庭の夫と妻(計400人)に対して行ったアンケート調査によれば、夫婦の家事分担の理想は、妻が65%、夫が35%であるのに対して、現実は、妻が80%、夫が20%です。夫の家事分担に対する妻の満足度は100点中、58.5点であり、夫の家事分担に対する妻の満足度は決して高いとはいえません。さらに生団連の調査によれば、妻が夫にやってもらいたい家事と夫が得意な家事が大きく異なることが分かっています(次ページ図表1)。

佐原氏は、夫婦の意識のギャップに関してこう語ります。

「家事に対して夫はやらされている感や、やっているつもりになっているのが現状です。一方で、妻は、夫が家事を行うためにはお膳立てが必要である、自分が結局最後の仕上げをしなければ終わらないといった悩みを持っています。夫婦の意識の差を埋めることが重要だと考え、私たちが製作した『男の「ちょいカジ」マニュアル』では、『ママの気持ちを知ることからはじめよう』をキーに掲げています」