今回は、全体で1%もいないという20代議員も含め、若手地方議員の方にお集まりいただきました。「シルバーデモクラシーの弊害」について議論していきます。

小野塚礼佳さん/江戸川区議会議員(東京都)。うつ病の経験から、カウンセラーに。昨年の統一地方選挙で初当選。
山薗有理さん/メーカーでの営業アシスタントなどを経て伊丹市議会議員(兵庫県)。25歳のときに当選し、現在2期目。
小幡沙央里さん/横須賀市議会議員(神奈川県)。学習塾勤務を経て、昨年の統一地方選挙で初当選。当時29歳で最年少。
※ユースデモクラシー推進機構の協力を得て3人の女性議員にご参加いただきました。

町内のご用聞きしかしないシニア議員が新しい挑戦を阻害します

――早速ですが、地方議会においてシニアの意見ばかりが重用されているとの実感はありますか。

【小幡】年配の議員が重きを置いているのは市政全般というより、町内会の活動という場合も多い。地域の人たちの要望でもあるのですが、「ミラーを付けてくれ」とか「道路を直してくれ」といったことに応える“ご用聞き”と化している節はあります。その背景には、地元の人が「知っている人に票を入れる」ことがあるのですが……。

小幡沙央里さん

【山薗】シニア議員は固定観念でガチガチになっていると感じることはあります。例えば、議会にはパソコン一つ持ち込めません。情報が流出しないのか、などの横やりが入るからです。議会の内容はもともと公開されているので問題ないと思うのですが(笑)。

【小野塚】ICT化は、議会の仕組みを簡易化するだけではなく、医療に適用する、一人暮らしのシニアの見守り活動に応用するなど、シニアにも必要な施策なのに、それが伝わっていないのは残念です。

【小幡】横須賀市は市長が40歳と若いのですが、彼より年上の議員たちの反発があります。オープンガバメントや住民自治を促す政策にしてもそう。市民の意見を聞くのは大切だと言いながら、自分たちの特権が奪われそうになると、抵抗しようとする。市民が我々と同じレベルで情報を持ってしまうと、では議員は何をするのだと言われてしまいますから。

小野塚礼佳さん
――社会保障も、保育園の整備、若者の就労支援など若年層向けより、シニア向けが優先されている印象ですか?

【山薗】保育園の整備には保育士の待遇改善が欠かせませんが、例えば議員が保育園の視察に行くと、男性議員は陰で「保育士って、誰にでもできるんでしょう」なんて言っていたりする。現場の状況や待遇に共感していないんです。

【小幡】引きこもりの人の就労支援にしても同じです。シニア世代の議員は今の若者は生ぬるいと捉え、就労支援をしようとすると、いい顔をしません。

【山薗】それに、引きこもり問題を抱える家庭はあまり相談にこないため、相談件数が少ない。本当に困っている人に情報が届いていないために件数が少ないだけなのに、「やっています」と既成事実を作ろうとするのは問題です。