安倍政権では「一億総活躍」の掛け声のもとで、女性や高齢者の活躍を推進。時代の流れを受けて、女性活躍に本腰を入れる企業も増えてきました。ただ、女性活躍を急速に進めたことで思わぬ「困った状況」も起きています。そんな企業にスポットを当ててみました。この領域に詳しい業界ウオッチャーの意見をもとにした「チェックリスト」つきです。

*『辞めたくても、辞められない!』(廣済堂新書)、『2016年 残業代がゼロになる』(光文社)など、労務問題の真相をよく知る溝上憲文さんからの情報で構成

みんな「用もないのに帰らない」わけではない

そもそも、なぜ日本人は休みを取らずに長く働くのでしょうか。

ありがちな理由に、「上司の顔色を見て」「そのほうが評価されるから」などが挙げられます。こうした話が広まっているから、「本当は必要もないのに長く会社にいる」というイメージがつきがちですね。

だから、本気になれば時短などいくらでもできる、と会社のトップは考えてしまうのです。

ところが現実は全く異なります。奈良県が県内を広く調査した結果わかった残業の理由は、第1位が「仕事が多い」で全体の56%、2位は「人手が足りない」で34%。対して「周囲を気にする」はたった5%、「評価を上げたい」は0.1%しかありませんでした。

つまり、仕事が多くて人手不足だから、日本人は長く働いている。こんな状態では、時短は簡単には進められそうにありませんね。

過半数の人がサービス残業している現実

一方で同調査では、もう一つの真実も明らかにしています。調査対象の半数以上の人が、なんとサービス残業をしていると答えたのです。

仕事が多くて、人手も足りないのに、時短を進めるとその解は、「サービス残業が増える」になってしまいます。数字が改善した裏に、そんなトリックがあるという声が多々上がっています。