ファーストレディとしての公務のかたわら、教育、食、女性活躍などの活動にも積極的な昭恵夫人。夫人が注目している女性役員との独占対談。
DCブランド全盛期の原宿でセレクトショップの先駆けとして産声を上げ、現在では全国90店舗を展開する小売り事業を中心に、出典ブランド500以上、来場者数2万人という世界でも有数の展示会「rooms(ルームス)」を開催するなど、日本のファッション業界をけん引し続けているアッシュ・ペー・フランス。roomsプロデューサーで同社取締役の佐藤美加氏と、首相夫人であり、居酒屋経営も行う安倍昭恵氏。日本のファーストレディと、注目の女性ビジネスリーダーが考える、これからの働き方とは?
だるまが女性になぜウケたのか?
【佐藤】私が勤める「アッシュ・ペー・フランス」では、年に2回、ファッションとデザインの合同展示会「rooms」を開催しています。2016年の秋で33回目を迎え、次世代のトレンドを生み出す場としても知られるようになりました。私はこのイベントのプロデュースをしているんですが、昭恵さんに見にきてほしくて、ある方を介してダメ元でお誘いしたところ、足を運んでくださった。それが2人の出会いですよね。
【安倍】並んでいる物を見て、すごく興味をひかれました。私は物欲があまりないほうなのですが、「こんなアイデアがあるんだ」と眺めているだけでワクワクしたぐらい。
【佐藤】昭恵さんに来てほしいと思ったのは、東日本大震災の翌年から「rooms」で被災地を中心に全国各地の伝統工芸品や地場産品を紹介するエリアを設けていたからです。私は福島県の出身で両親が被災していて。「ファッションになんの意味があるのか」と虚無感に襲われていたら、避難所の母が「今度、来るときはピンクの服を持ってきて。気持ちが暗くならないよう、明るい色の服を着たいから」って。そのときにファッションの力を再認識して、「被災地にいくらかでもお金が落ちることを自分の仕事でやろう」と思い、伝統工芸や地場産業にスポットを当てたプロジェクトをスタートさせました。
【安倍】伝統工芸に現代的な要素が取り入れられていて、なかには「えっ!?」と驚く品もあったり。それを成し遂げるエネルギッシュな美加さんに対しても、すごいなぁと感心していたんです。
【佐藤】日本には素晴らしい伝統工芸や地場産業があるのに、埋もれてしまっている物が多いんです。注目してもらうために足りない要素は、見せ方や広め方の部分を私が提案していこうと。たとえば、福島県白河市の「白河だるま」。彩色を施したミニサイズのだるまが駅のお土産屋さんなどでひっそり売られていて、かわいいけれど、だるまの色がいまひとつイケてない。なので、色をちょっと変える提案をしたところ、これが女性に大好評。「rooms」や店舗で2万個を売り上げるほどのヒット商品になったんです。
【安倍】見せ方を変えるだけで、まったく違うのよね。
【佐藤】そうそう。以来、被災地以外からも声がかかるようになって。