米国でフィンテックが先行した背景は?

2014年、2015年あたりから、ニュースや新聞紙上などで「フィンテック」という単語がしばしば見受けられるようになった。この新しい言葉(造語)が、特に金融業界に身を置く人々の間で大きな話題となったのは、周知のことであろう。

フィンテック(FinTech)とは、金融(finance)と技術(technology)を組み合わせた造語であり、金融とITが相乗したサービスの総称である。2008年以降、フィンテックは米国で大きな潮流となり次第に日本へと波及してきた。「大いに発展する契機となったのが、2008年秋に世界金融を襲ったリーマンショックであった」というのが定説だ。

サブプライムローン危機に端を発し、米・投資銀行のリーマン・ブラザーズ破たんが引き金となって発生した世界的金融危機によって、日本でも日経平均株価が大暴落するなど大きな影響を受けた。リーマンショック以降、欧米では多くの金融機関が経営困難に陥った。税金による救済を受ける一方で、一部の銀行は守りの姿勢に入り、融資の利息や口座手数料を引き上げ、貸し渋りも発生。

これをきっかけに、中小企業や低所得層を中心に銀行への不信感が高まり、新しい金融サービスを求める動きが加速した。また人材の面でも、従来の金融産業で働いていた人材が、一気にIT産業に流入。それによって、新しいサービスやビジネスモデルを創出する100社以上のフィンテック企業が誕生した。

コンサルタント企業のアクセンチュアによると、この数年、世界的にフィンテックへの投資が増加しているという。2010年に18億ドル(約2160億円)だった投資額が、2015年には12倍の220億ドル(2兆6400億円)へと急拡大している。

とりわけ、米国での隆盛が目立つ。

2013年の40億5000万ドルから、2015年には122億1200万ドルに達し、米国への投資が全体の約55%を占めている。

フィンテックへの投資額と案件数