「利益の過大計上」東芝の不正会計問題の本質

『図解!業界地図 2017年版』では、巻頭特集で東芝の「これまで」と「これから」を探っている。発売後に東芝は17年3月期の予想を発表し、当期純利益が16年3月期4600億円の赤字から1000億円の黒字に転換するとした。果たして実現するのだろうか。

『図解! 業界地図2017年版』(ビジネスリサーチ・ジャパン著/プレジデント社刊)

『図解!業界地図 2017年版』の特集の内容をベースにすれば、東芝の今後の推移により注目したくなるはずだ。同じページでは、東芝やシャープなど電機各社の経営状態や投資活動の巧拙を判断する材料も提供している。

たとえば、東芝の不正会計問題にもページを割き、不正会計に手をそめた09年3月期から14年3月期までの6期について、売上高など主要指標について、修正前と修正後の合計金額を計算。それによれば、売上高や純利益の過大報告金額は1000億円台で、逆に負債総額については過少報告で、5兆円を超える規模だった。

一方、キャッシュフロー(CF)計算書で示される営業CF、投資CF、財務CFは修正前と修正後の誤差はわずか。キャッシュの出入りを示す計算書だけに、ウソはつけなかったわけだ。

『図解!業界地図 2017年版』では、可能な限り多くの企業について営業CF、投資CF、財務CFの金額を示しているのもそのためだ。

東芝は15年度決算についても、発表後に訂正を重ねるなど混乱状態が続いたが、16年3月期の投資CFは6534億円の入金超だった。期末ギリギリに医療機器子会社をキヤノンに売却し、6655億円のキャッシュを得たためである。

このように特殊要因があったりすることも多いので3期、5期と通算することもポイントになる。『図解!業界地図 2017年版』では、大手電機メーカーについて、10期累計で示している。