知性、判断力、信頼感、明瞭な口調……さまざまな素養を高いレベルで求められるプロフェッショナルな職業、アナウンサー。女性の場合は、それに加えて抜きん出た美しさも求められます。コラムニスト河崎環さんが、テレビの画面を通じてよく見知った滝川クリステルさんに実際に会い、インタビューをして思ったこととは。

美しき“言葉のプロ”に会いに行く

仕事で、滝川クリステルさんにインタビューする機会があった。それはすなわち、人の話を聞いて伝える“言葉のプロ”に、身の程知らずにもこの私がお話をうかがわねばならないということ。いいのか、大丈夫か、私。大変である。一大事である。

仕事の依頼を受けたときは、「わぁ、滝クリさんに会えるんだぁ」と気分が華やいだ。テレビや雑誌で目にする有名人、化粧品の広告にもフィーチャーされるような知的で美しい女性、在京キー局の看板ニュース番組のキャスターとしておじさまたちの視線を釘付けにした元“女子アナ”……。何よりも東京オリンピック・パラリンピック招致活動時の象徴とも言える「お・も・て・な・し」のジェスチャーで、日本人なら知らないひとはまあいない。わぁ、お隣に並んで写真撮ってもらっちゃおうかなぁ。いや、ダメだなそれは、現代日本を代表する美人の隣に並ぶなんて、自らすすんで“公開処刑”されるだけではないか。人はそれを暴挙、あるいは愚行と呼ぶ……。

仕事打ち合わせでそんなことを考えてフワフワしていたら、依頼者さんの言葉で勢いよく現実に引き戻された。「なんといっても滝川さんは“言葉のプロ”ですから。経験のあるライターさんにインタビューをお願いしたいと考えておりまして」。ぐはっ、期待値高っ! これまで政治やビジネス畑、または学者や芸術家などいわゆる文化人の方々のインタビューに駆り出されることが多かったために、ありがたくも私には「堅めの仕事」のイメージが付いているようなのだ。とにかくご期待に少しでも添えるように頑張らねば。というわけで失礼のないよう、まずは油断して某バンドの影響でキンキンにしていた髪を「堅めの仕事」仕様へと染め直しに、美容院へ行くところから始めた私であった。

滝川クリステルさんオフィシャルブログより。チャリティー活動など、幅広い活躍が伝えられている。