「完璧主義」も長時間労働の一因に
欧米では一人一人の仕事内容が限定されていますが、日本では明確に決められていません。
たとえば人事部から営業部に異動するなど、どんな仕事をすることになるかわからないので、専門性よりも幅広い対応力が求められます。ひとつのタスクを複数の人で分担することも多く、「自分の仕事はここまで」と線引きしにくいのです。
また、仕事内容が明確でないために、労働時間も評価の対象になります。残業したほうが上司の覚えがよく、残業した分だけ収入が増えるという環境では、社員はむしろ積極的に残業してしまうのです。
もうひとつ、日本の完璧主義の影響もあります。
日本企業は顧客満足度100%を目指しますが、ヨーロッパでは費用対効果の観点からそれはしません。あえて90%までしか対応しない方針を作り、残り10%をクレーマーとみなして切り捨てるのです。その10%のために日本人は多くの労働時間を割いているともいえます。