リーダーが仕事ですばらしい成果をあげ、なおかつ仕事と私生活のバランスをとることは可能でしょうか。クリスティ・ドブス(フィラデルフィア)


 

それは可能なだけでなく、そうしている人は大勢います。すばらしい成果をあげる人は、通常きわめて高い能力を備えています。頭の回転が速く、創造力に富み、前向きで活力に満ちています。そして、これらの資質は概して仕事だけでなく、その人が行うあらゆることで発揮されます。

仕事で成功している人が、家族との時間やボランティア活動や趣味で充実した生活を送っている例をたくさん見かけるのはそのためです。彼らは自分が何を望んでいるかを把握しており、そのすべてを実現するにはどうすればよいかをよく考えています。

しかし、ご質問の趣旨はよくわかります。仕事上の挑戦が絶え間なく拡大しているグローバル経済の中では、仕事と私生活の両立は容易なことではなく、ともすると押しつぶされそうに感じてしまいます。おまけに、携帯電話などの技術の進歩が事態をさらに複雑にしています。

しかし、押しつぶされそうに感じるのは、初期反応にすぎません。それは「ワークライフバランス」という言葉が本当に意味することにきちんと向き合っていないときに起きる現象です。「ワークライフバランス」とは、選択をし、その結果を引き受けることです。

問題は、「ワークライフバランス」という言葉が、仕事とそれ以外のことへの時間配分に関して、ただ1つの正しい比率があるという前提で語られていることです。

多くの人が仕事と私生活をおそらく50対50に分けたいと思っているでしょう。でも、仕事が大好きなので、70対30の比率にしたいという人もいます。一方で、仕事はその生活を支えるために必要な最小限に抑えたいと思う人もいます。

バランスとは、自分が個人として、また職業人として人生に何を求めるかによって自分にとって何が適切かを判断し、その判断に基づいて行う個人的な選択だということです。

週80時間働くことを選ぶとしたら、それは家族と過ごす時間を犠牲にすることを選ぶ、ということです。家族と過ごすために週35時間しか働かないことを選ぶとしたら、それは出世コースからはずれることを選ぶ、ということです。正しいか間違っているかの問題ではなく、個人の選択と、それと引き換えに捨てるものがあるだけです。

そうは言っても、仕事と私生活のバランスは、子どもを持つ女性にとっては概して一段と難しい選択であるのはたしかです。子どもを持つ女性の場合、自分が職業人として、また個人として人生に何を求めるかではなく、子どもを基準に選択しなければならない期間が、職業人生の中で15年ほどあります。その期間は、選択と結果が一段と複雑になる難しい時期でしょう。

より一般的なあなたの質問に戻りますと、仕事ですばらしい成果をあげ、同時に「仕事と私生活のバランスをとる」ことは100%可能です。すばらしい成果をあげている人のほとんどが、すでに選択を仕事を優先するという選択をしているのですが、高い能力のおかげで、往々にして自分の望みどおりのバランスで、仕事以外でも有意義な生活を築いています。

(回答者ジャック&スージー・ウェルチ 翻訳=ディプロマット (c)2007. Jack and Suzy Welch. Distributed by New York Times Syndicate.)