建設的な交渉が、互いを勝者に導く秘訣

例えば、3人のうち、Aさんが他の2人より早く出勤して早く退社することはできないでしょうか? 逆に、Cさんは遅めに出勤して、もう少し遅くまでいることができるかもしれません。もしも、3人のうち誰かが、例えばBさんが、誰もが嫌がるような業務を引き受ける場合、Bさんの業務を量的にはやや軽くすることはできないでしょうか? 一方で、他のメンバーよりAさんが担当するほうがよい業務もあるのではないでしょうか? それぞれの業務について各自が主たる責任を負い、互いに教え合うというのはどうでしょうか?

このような交渉は、彼女たちがそれぞれのニーズやスキルの違いを認め、最適なバランスの取れた取引をするために話し合おうとして初めて可能になります。それぞれが自分のニーズを把握すると同時に、他のメンバーのニーズも理解し、きっちり「取引」するという合意が必要です。そうすれば、他のメンバーも交渉に納得し、合理的だと感じるでしょう。

「全員が勝者となるための交渉術」3つのポイント
●交渉術が使える非公式で日常的なシチュエーションを発見しよう。合意なきところに交渉の余地あり!
●交渉相手のニーズに敏感に対応しよう。でも、自分自身のニーズもしっかり把握すること。
●何かを得て、何かを与えるという心の準備をしよう。そして、議論に勝とうとして時間を無駄にしないこと。取引あるのみ!
エグゼクティブアドバイザー マレーネ・リックス
1965年、デンマーク生まれ。エディンバラ大学卒業。イギリス、アメリカ、メキシコ、オーストラリアなどの国々で学び、働いてきた経験がある。フリーのアドバイザーとして企業や個人にリーダーシップや交渉術を教える。

翻訳=井内千穂 撮影= 伊藤晴世