共働きの財布別家計も危険

頭金ゼロでの購入も危険だ。新築は購入した途端に2割以上価格が下がる。全額ローンで買った場合にはその時点ですでにローン額に満たない担保しか所有していないことになるため、払えなくなって手放すと残債が売却金額を上回る計算になる。その後、経年で価格が下がると乖離(かいり)はさらに大きくなる。そうした危険を抱えないためにはあらかじめ価格が下落している中古を買う、あるいは想定される価格下落分くらいの頭金は用意したほうが良い。

また、貯蓄には金融機関の心証を良くする意味もある。もちろん、黙っていても貸してくれるような年収、属性の人なら関係ないかもしれないが、貯蓄があるということは計画的に家計を経営できているという証左。そういう人であれば多少無理めの融資でも可能になることがあるそうだ。

頭金ゼロで特に危険なのは共働きで、財布を別にしているケース。支出項目ごとに負担を決める、一定額を出し合ってそこから共通の経費を支出するなど支出に関してはルールを決めていることが多いが、貯金に関しては互いに知らん顔というケースが一般的で、全く貯まっていない例が多いのだ。財布は別にしているが、それぞれ一定額を貯蓄しているというケースの場合にも定期的に貯蓄額が妥当かは見直したい。給料が上がり、余裕ができているにも関わらず、一定額以上は使ってしまっている場合があるからだ。

いずれにせよ、将来住宅購入を考えているなら、家計は1つにし、夫婦で把握しておくことが大事。どちらかが管理する人で、一方は無関心というカップルもまた、破綻しやすいのだ。

育休、介護休期間の収入減も考慮に

共働きの場合には、どちらかが子育て期に働き方を変えざるを得なくなった場合のことも考えておく必要がある。一方が離職せざるを得ない、一時的に休職するとなっても無理なくローンを払い続けられるかということである。介護休も同様だ。

一番安全なのは、どちらか働き続けるほうの収入で無理がない額のローンにしておくことだが、それでは満足いく住まいが手に入らない可能性もある。では、どうするか。子供にお金がかかる前に繰上げ返済するなどして返済額を減らしておく、あらかじめ短い期間で組んでおいて休職中にはそれを長くし、一時的に返済額を減らすなど、いくつか手はある。具体的には各家庭の状況によって方法は異なるが、我が家はどうするべきか、できるだけ事前に想定程度はしておきたい。