既成概念からあなたを解放する、多方面でデザイナーとして活躍するnendo代表・佐藤オオキ氏の仕事&発想術。ハウツーではない、思考回路のスイッチを切り替えるヒントが満載の、新年にぴったりな本を紹介します。

苦境の渦中にいる人に、言ってはいけない言葉は「頑張ってください!」だと聞いた。そう、渦中にいる人は既に余力がないほど頑張っている、または冷静さを失うほど追いつめられている場合が多く、「何をどう頑張ればいいんだ!」とさらに混乱してしまうからだという。

そんな苦境に立つ人に、本書の著者だったらどのようなタイミングで、何を言うのか? 「頑張ってください!」に代わる適切な言葉は何か? 読み終えた時、ぼんやりとそんなことを考えた。

『問題解決ラボ 「あったらいいな」をかたちにする「ひらめき」の技術』(佐藤オオキ著/ダイヤモンド社刊)

『問題解決ラボ――「あったらいいな」をかたちにする「ひらめき」の技術』、著者は佐藤オオキ氏。佐藤氏はデザイナー、デザインオフィスnendoの代表だ。「プロフェッショナル 仕事の流儀」「SWITCHインタビュー 達人達」「ガイアの夜明け」等、数々のテレビ番組に出演しているので、ご存知の方も多いはず。私は佐藤氏がナビゲーターを務めるラジオ、「J-wave CREADIO」(毎週日曜 21時~)のファンである。

本書タイトルを見て、どんな問題でも簡単に解けてしまう魔法を期待する人がいるかもしれないが、答えはノー(笑)だ。そんな魔法は世界中どこにもないし、近道をしてはいけない。

本書は佐藤氏が仕事を通して経験してきた感じ方、志向性、行動の軌跡であった。そしてそこにはもちろん魔法はなく、「実直さ」が存在していた。