前回は、ヤング&ルビカム社のBrand Asset Valuator (BAV)というデータベースの中の4Csという消費者価値観分析モデルを用いて、最近調査が行われた25カ国中、日本は「あきらめ派」(既存の価値に執着し、時代の変化に適応できず、社会参加をあきらめている層)の比率が最も多く、「苦闘派」(疎外感やフラストレーションなど社会における苦悩から逃避する層)も第3位であり、さらに、これまでの消費を牽引してきたとも言える「上昇志向派」(社会の中で自分が周りからどう見られているかを重視し、ステイタスを志向する層)と、「成功者」(目標意識と達成への自信をもち、大衆からの分離がモチベーションとなっている層)が、逆に25カ国中最低であることを示した。

これはマーケターにとって悪夢のようなデータであるが、果たしていつから日本人の価値観はこのようになってしまったのか?今回は時系列に見てみることにする。

もともと日本は中流志向が強いと言われていたように、「主流派」(社会におけるマジョリティに属することを望み、安定を志向する層)と定義されているセグメントが1997年には42%いた。この層は2010年の調査でもやはり35%と7セグメント中多数派を占めている。

しかし、「あきらめ派」と「苦闘派」は1997年の調査では両方足して14%だったのが2010年では32%と倍以上に増え、なんと日本人の3人に1人がこのどちらかの層となってしまった。それと対極を示すのが「上昇志向派」と「成功者」で、これらはそれぞれ17%から6%、9%から7%へ減少し、両方を合計するとちょうど半減してしまっている。特に、「上昇志向派」は3分の1に激減してしまった。

日本における価値観セグメント(4Cs)割合の推移©電通ヤング&ルビカム Brand Asset Valuator
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日本における価値観セグメント(4Cs)割合の推移©電通ヤング&ルビカム Brand Asset Valuator

1997年は、実はアジアの通貨危機が始まり、北海道拓殖銀行や山一證券という日本を代表する金融機関が破綻し、日本でもバブル崩壊後の不況のピークとも言える年であった。日本人の価値観もこの年を一つの転換点として、様変わりしてしまったと言えよう。

2001年の調査とその次の2004年の調査では、「あきらめ派」の増加と「上昇志向派」の減少は既に見て取れたが「成功者」はむしろ1997年より増えており、いわゆる2極化ともいえる現象に思えたが、2010年の調査では「成功者」も1997年より減っており、2極化というより、一方向へのシフトと読み取れる形になっている。