日本語のプロの監修のもと、ビジネスマンが間違いやすい、知っておいたほうがいい誤用例をとりあげた。自分の日本語力をチェック!

「言葉の誤用はなぜ起こるか。必ず何らかの理由があるはず。それがわかれば、同じようなミスを繰り返さなくて済みます」と、読売新聞東京本社紙面審査委員会で用語担当の関根健一さんは言う。

関根健一氏●読売新聞東京本社紙面審査委員会専任部長(用語担当)。日本新聞協会新聞用語懇談会委員。文化審議会国語分科会委員。監修書に『一生使える、美しい日本語と敬語』(PHP研究所)、近著に『なぜなに日本語』(三省堂)など。

漢字はそもそも部首が「意味」を、つくりが「音」を表していることが多い。形が似ていれば、音や意味も似てくるわけで、そうした取り違えやすいもの同士に注意することが肝心と言う。

誤用が深刻な問題になるのは、コミュニケーションに障害が生じる場合だ。自分の意図が誤解されたり歪んで伝わったりしては、人間関係も壊れてしまう。ビジネスシーンでは、相手に対して失礼にならないかどうかが、言葉を選ぶ際の重要な判断基準になる。

言葉の意味は、時代によって変化する。関根さんによると、「例えば、『敷居が高い』は本来、不義理をしたためその家に行きにくいことを言いましたが、今は、程度、難度が高くて行きにくい場合に使われるようになっています。義理人情の観念が身近でなくなったことがその背景にあるような気がしています」。勘違いしたまま、使い続けている言葉もあるかもしれない。ときには自分の日本語をブラッシュアップしてみては。