「死んだふり解散・同日選実施」もあると思う

【塩田潮】消費税増税の先送りが議論になっています。来年4月の税率10%実施の是非は。

【馬淵澄夫(民進党筆頭特命副幹事長・元国土交通相)】経済や景気の話をするなら、増税凍結はわれわれが先に言うべきですね。やはり2014年の税率引き上げは間違いだった。完全にデフレ脱却ができていないのに、消費税率を引き上げたら、こういうことになるのは目に見えていた。私もずっと言い続けてきた。

馬淵澄夫氏(民進党筆頭特命副幹事長・元国土交通相)

【塩田】ですが、増税スケジュールは民主党政権時代に野田首相が決めたことです。

【馬淵】デフレ脱却を優先すべきだったのです。残念ながら、間違っていたんですよ。現在の景気低迷は増税がきっかけですから。3%の消費税導入、5%への引き上げの過去2回は、ともに見合いの減税を行ったのに、8%への引き上げは純増税で、消費を直撃した。

増税凍結は当たり前で、実は私は今、5%への引き下げを唱えているんです。それくらい民進党は経済を真剣に考えているというメッセージを出すべきです。ただ、財務省は逆襲に出るでしょう。

【塩田】安倍内閣が先送りを決めた場合、民進党は。

【馬淵】党のメッセージとして、今は税率を上げるべきではないと言っています。安倍内閣が「凍結」と決めたら、それは正しいんだと言うでしょうね。10%を決めた当時の執行部も飲まざるを得ないでしょう。

このまま行くと、経済はじり貧になっていく。安倍内閣はおそらく先送りを決めるでしょう。5月半ばに補正予算を国会で成立させた後に、熊本地震の状況を踏まえながら、消費税も凍結ですよ。18日に今年の1~3月期のGDP(国内総生産)成長率の第1次速報値が出ますが、それを見て発表というスケジュールではないかと思います。

26~27日の伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)の際、アメリカのオバマ大統領が広島を訪問することになりました。安倍政権は外交的にそれなりに安定感を示して、場合によっては、やはり衆議院の解散という話が出てくる。

【塩田】4月下旬、安倍首相が衆参同日選を見送る意向を固めたと各紙が報じました。

【馬淵】早すぎます。「死んだふり解散」もあると思いますよ。通常国会の会期延長はないから、6月1日解散・7月10日同日選という可能性は消えていないと私は言っているんです。熊本地震の長期化や被災の状況など、正直言って、今の段階ではなんとも言えませんが、選挙までまだ2カ月あり、相当程度、安定していく可能性もあります。仮に選挙が有利に運べると判断をしたら、安倍さんはやはり解散を打ってきますね。

【塩田】安倍首相は在任中の憲法改正の実現に強い意欲を抱いているようです。

【馬淵】間違っていますね。強引すぎます。憲法改正をやるなら、憲政の常道に則って正々堂々と国民に問うていくべきです。ところが、改正手続きを定めた第96条の先行改正という裏口入学みたいなことをやろうとしたり、閣議決定で解釈を変えたり、憲法に反するといわれる法律をつくったりする。国民は強権的行動を厳しく見ていると思いますよ。