3.社外からの番号入手――担当社員が取引先の個人番号を入手したら法律違反?

▼最も切実なのは現場の多い建設業界

原則的に、個人番号は利用目的を明示し、本人確認をしたうえで提供してもらわなければなりません。といっても、個人の取引先がたくさんある場合は、社内の経理や人事の担当者がすべてに対応するのは難しいでしょう。そのときに、現場の担当者が代行したら問題なのでしょうか。

たとえば出版社や新聞社などでは、専門家からの寄稿には原稿料、取材した専門家には取材謝礼を支払います。この場合、編集者など実務担当者が窓口になるのが一般的です。その担当者が先方の個人番号を入手して、社内の本人確認の担当者に伝えても違法ではありません。

これは8月に改正されたガイドラインのQ&Aでも明記されています。「中心的な事務を行う者、あるいは中心的または定期的な事務を行う者を担当者としてかまわない」というものです。つまり事務取扱担当者を決めておき、その人が中心に取り扱うが、何らかの理由で他の人が受け取った場合、受け取った人が事務取扱担当者でなくてもかまわないのです。

その点、最も大変なのは建設業の関係者でしょう。労働者を雇用せずに自分一人などで営む「一人親方」もいれば、各現場の作業に従事する「日雇い労働者」もいる。現場の日雇い労働者が、毎回、個人番号の通知カードを提示し、身元確認をさせてくれるのか。飲食業界などもパートやアルバイトが多くて個人番号を集めるのが大変ですが、建設業界はより切実です。1日限りで働く外部労働者に対するガイドラインも、現時点(12月2日)では示されていません。