2016年1月17日(日)

営業手法を変えた「止於至善」 -キヤノンマーケティングジャパン社長 坂田正弘【2】

経営者たちの四十代

PRESIDENT 2016年1月18日号

著者
街風 隆雄 つむじ・たかお

1947年生まれ。71年慶応義塾大学経済学部を卒業後、朝日新聞社に入社。経済部記者として産業キャップ、金融キャップ、経済部次長、静岡支局長、本社編集委員などを歴任。2007年独立。著書に『私の源流―トップ経営者からのメッセージ』(朝日新聞社)などがある。

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経済ジャーナリスト 街風隆雄 撮影=門間新弥
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「箱売り」から進化、横断的チーム新設

「Beyond Canon」という言葉に、ビジネスパーソンたちは、どんな意味を考えるだろうか。キヤノンマーケティングジャパンは、親会社のキヤノンが6割近くの株式を持つ。当然、キヤノンの製品を国内で販売するのが、第一の仕事だ。そのキヤノンマーケティングの標語に「Beyond Canon」がある。

キヤノンマーケティングジャパン社長 坂田正弘氏

キヤノンの枠を越えて飛躍しよう、との呼びかけだ。キヤノンにない製品やサービスを海外企業などから調達し、国内外で販売、あるいはキヤノン製品と組み合わせたシステム構築を増やしたい。ときにメディアなどで「キヤノン離れを目指している」と誤解されるが、むしろ逆。自力で稼ぎ、親会社の連結決算に貢献しようという「親思い」の表れ、と言える。

そんな「非キヤノン」の売り上げは、6600億円規模の連結売上高の3分の1にまで成長した。その6割強を、ITソリューション部門が占める。顧客が抱える課題や要望をつかみ、その解決や実現を図るシステムを提案し、構築する。自社の都合で製品やサービスを売り込むのではなく、徹底的に顧客の側に立つ。それを最終目標と定めた事業展開に、必要なチームを、営業の副部長から部長になる40代後半につくった。

きっかけは、1990年代半ばの生命保険会社へのプリンターの大量納入だ。全国でシステムが順調に動くまで、約3年かかった。最大の理由は、お客の仕事の内容や進め方、その中にある課題に、営業担当が十分に通じていなかったことにある。解決にはシステムエンジニアが不可欠で、新たな製品やソフトが必要となれば、キヤノンの力も要る。違った発想やノウハウを持つ人間のチームをつくろう、と思った。

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