「俺が出世できない理由は学歴がないからだ!」「初めて会う人間はみんな俺の学歴を馬鹿にしているのではないか」

「東大院卒」「慶應大院卒」のインパクトは絶大だ!
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「東大院卒」「慶應大院卒」のインパクトは絶大だ!

高校卒業時に迎える人生の岐路としての大学受験。華々しく一流大学に合格していく人間がいる一方で、多くの人々が一流大学合格者に対して怨嗟に満ちた羨望の眼差しを送っている。

私立大学法学部生Aは一浪して現在の大学に通っていた。傍から見れば「まずまず」の学歴なのだが、Aは自分の大学名を名乗ることを極端に嫌っていた。

理由はAの友人関係にあった。Aの通っていた高校はいわゆる進学校であり、高校時代からの先輩・同期・後輩のほとんどは早慶レベルの大学に通っていた。そのため、友人と合コンに出かけるときも常に学歴負けしており、女の子との楽しい会話に入る前の自己紹介で負い目を感じることも多かった。ところが、二流大学の学生と話をしても知的な刺激が足りないような気がした。「俺はこいつらと違う」という選民意識から、まともに会話が成り立たない。この両者から疎外された感覚がAの心の中で整理しきれず悩みの種になっていた。

大学4年の夏、一流大学の友人・知人が一部上場の有名企業に就職が内定していく中で、Aは坂道を転げ落ちるように就活に失敗し続けていた。やっと手に入れた内定先は聞いたこともないような三流のブラック企業。飲み会の場でも自らの内定先について恥ずかしくて名乗れず、何かの拍子で内定先がバレたときにはお笑いのネタにされる始末。「大学名さえあれば、俺だって一流企業の内定が取れるのに!」。周囲の二流大学生が適当な内定先を得てヘラヘラ笑うのにも腹が立つ。

悶々とした毎日を過ごしていたとき、Aの視界に“都の西北”にある一流大学の社会人大学院入試の広告が入ってきた。「社会人大学院に二流大学の学生が受かるはずがない」と最初は諦めていたが、「このまま人生に負い目を感じた状態で一生を送りたくない」と一念発起して大学院受験を決意した。調べてみると受験内容は大学受験とは比較にならないほど簡単。語学、基礎知識に関する試験、研究計画作成、面接だけで合格できるものがほとんどだった。結果として、Aは大学院に合格、一流大学院修了生として現在は有名企業に勤めている。

社会人大学院入試は大学入試と比べて倍率・難易度ともに極めて低い傾向にある。たとえば、最高学府・東京大学公共政策大学院の入試倍率は2.1倍、合格者の東大以外の大学出身者比率が約70%となっている。平成21年度で入学願書審査(大学成績・学習計画など)、外国語審査(TOEFL)、専門科目試験(1科目)、ならびに口述試験のみであり、膨大な学習量を要する大学受験とは全く内容が異なる。都内の一流大学大学院の教授に話を聞けた。

「社会人大学院の経営は非常に厳しい状況にあり、学費は他大学院と比べて高額です。そのため、いずれの大学院も受験定員を確保することに必死なのです」