いつもぶらぶらしていて何をやっているのかよくわからないが、仕事ができてしまう、映画「釣りバカ日誌」の浜ちゃんのような社員がいる。勤務態度がひどいのに生き延びる「異色社員」をルポした。
誰もがお気楽社員にあこがれるが……。
写真を拡大
誰もがお気楽社員にあこがれるが……。

●ある日、上司と一緒に客先で商談中、急遽別の取引先に急行しなければならなくなり、上司から「大至急、駆けつけてくれ」と言われて中座したが、この若き営業マン、取引先に向かうかと思いきやコンビニに直行。その言い訳がすごい。「だって今日は少年ジャンプの発売日だから……」。彼は、取引先の社長の息子でコネ入社。実は会社にとっては大切な「人質」。会社に一番貢献していると役員は口を揃えていたという。だが最後は精神疾患を患って退社となってしまった。(メーカー・営業・男)

●毎日、午前11時頃から数時間姿が見えなくなる。イタリア人もびっくりの長い昼休みだ。戻ってくるのは午後3時か4時。どうやらマッサージに行ったりショッピングしたりと平日昼を満喫している模様。周囲の評判もあまりよくない。こんな浜ちゃんOLだが、一発逆転は強力なおみやげだった。なんと父親は大手電機メーカーの役員。年に数回、パパにおねだりして大きなイベントの企画・運営を自分の会社に発注してもらっている。当然、イベント担当は自分のチームだ。普段はお荷物の浜ちゃんOLでも、年数回のおみやげが大きいだけに、会社も怒るに怒れない。周りの社員の士気が落ちそうだが、上司は「そろそろイベント、お願いね」と猫なで声で頭が上がらない。

政治家の世襲批判が最近の流行だが、意外に身近な「七光さん」が周囲の反感を買い、政治家に向けられている可能性がある。(イベント企画運営会社・企画担当・女)

●世界的に急成長を遂げるこのアパレルメーカーに、草食系の役員が一人いる。毎日ニコニコ笑顔だが、仕事の進捗はイマイチ。あんなに厳しい社長がどうしてこの人のクビを切らないのか。上着に使うロゴが、あるデザイン事務所のものと酷似していて、訴えられそうになったとき。その役員、「友達の友達」という事務所の社長をふらりと連れて出社。「ま、いっか」などと事なきを得た。そのほかにも、怪しげな人脈から問題を次々と解決してしまうのだ。(大手アパレルメーカー・役員・男)

●中央アジアのある地域に携帯電話などにも使う高価なレアメタルが眠っている。この採掘権を手に入れるには、カネも重要だが、地元の有力者から信頼されることが何よりも大事だ。有力者と毎晩のように酒を酌み交わし、ようやく相手も心を開き始めた。すると、有力者は「俺の妻を抱け」と言う。地域の習慣らしいのだが、日本の多くの商社マンはそこで躊躇してしまう(当たり前だ)。しかし、彼は違った。仕事のためと割り切り!? 遂に契約を結んだのだ。(商社・営業・男)


 

一発逆転の浜ちゃん社員は、暇な時間の振る舞いが目立ち、周囲の反感も買う。が、頼みの印籠がなくなれば、普段の素行不良がたたってたちどころに行き場を失う。まさに、ハイリスク・ハイリターンの社員なのだ。