エクセルを使うことでどこまで業務改善ができるのか。業種の異なる3社の活用例をレポートする。

エクセルを一切業務に使っていない企業はほぼないだろう。その一方で、エクセルの効果を最大限発揮する使い方ができている企業は少ない。ここでは、エクセルを使った業務改善に成功した企業の事例を紹介し、活用のポイントを明らかにする。

和僑「半日かかった作業が15分に」●導入前は店舗ごとに手書きFAXでやり取りしていた受発注作業。エクセルでシステム化することで、半日かかった作業が15分でできるように。外部システムを導入するのに比べ、開発費用も10分の1で済んだ。

居酒屋のヒノマル食堂など25店舗を展開する和僑は、エクセルを使って食材を受発注するシステムを構築した。店舗の担当者が、メニューごとに1日の予想販売数をエクセルに入力すると、店舗全体で1日に必要になる「キャベツ」や「たまねぎ」といった食材の総量が自動で計算される。

エクセルはクラウドサービスのDropboxを使って配送工場の担当者と共有。工場の担当者は、各店舗から集まったデータから食材の仕入れ量を即座に算出できる。同じ「キャベツ」を使う場合であっても、「千切り」や「ざく切り」など、メニューによって加工の仕方が異なる。エクセルファイルでは加工の形態ごとの必要量も自動で算出できる。そのため、和僑は配送工場で食材を適切に加工し、各店舗に配送している。

現在は15店に導入。各店舗の担当者が受発注のための入力作業にかける時間は15分ほどだという。しかし、この受発注システムを作る以前は、「受発注作業に半日ほどかかっていた」(高取宗茂社長)。まず店舗の担当者が、各メニューの予想販売数を手書きでFAXし、工場に送る。FAXを受け取った工場の担当者は、メニューごとに必要な食材の総量を計算。キャベツなど複数の料理で使われる食材の場合、さらに足し算が必要になる。こうした作業が多数発生していたために、受発注業務は大変な労力がかかっていた。

新システムにおいて、集計に使っているエクセルの関数はSUMやIF、VLOOKUPなど基本的なものばかり。「重要なのは、業務フローをきちんと整理し、エクセルを効果的に活用できる部分を見つけることでした。それができれば、簡単な計算をするだけで業務は効率化する。複雑な計算や高度な関数を使う必要はない」(同)。