ネットの情報を簡単に消す方法

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インターネット関連の仮処分件数推移(東京地裁)(出所=共同通信)

ネット上に広がる事実無根の噂や知られたくない過去。それらに悩まされている人に朗報となる司法判断が出た。自分の名前で検索すると、犯罪にかかわったと記述する検索結果が表示されることに悩んでいた男性が、検索結果の削除を求める仮処分を申請。それを受けて、東京地裁は2014年10月、グーグルに対して削除命令を下したのだ。

これまでもサイト管理者などのコンテンツプロバイダに対しては、人格権(プライバシーなど)を侵害する書き込みの削除が命じられてきた。しかし、グーグルなどの検索結果の表示に関しては、検索サービスの公益性などを理由に削除請求が退けられてきた。しかし、男性の代理人を務めた神田知宏弁護士は、次のように主張する。

「検索サービス事業者側は、検索結果はロボットが自動的に収集したものだと主張してきました。しかし、ロボットに意思を与え、どこにどう表示させるのかを決めているのは検索サービス事業者。検索表示はコンテンツの1つであり、他のコンテンツプロバイダと区別して特別扱いする理由はない」

今回、グーグルに削除命令が出た意義は大きい。削除仮処分申請の供託金は、東京地裁で1件30万円。その他に弁護士費用もかかる。これまではサイトごとに削除申請するのが一般的だったが、件数が多いと金銭的な負担も膨らむ。しかし、グーグルの検索結果から削除できれば、自分に関する知られたくない情報へのアクセスを困難にできる。元の情報は消えないが、グーグル相手に1回削除申請するだけで済むから簡単だ。