リーダーは目先の利害を捨てなければ駄目
【塩田】辛うじて野党第一党の現在の民主党をどう見ていますか。
【小沢】少しずつ前進している。海江田万里さん(民主党代表)の発言も積極的になってきたと思います。
【塩田】維新の党はいかがですか。
【小沢】橋下徹・大阪市長が国政に出るか出ないかが最大の問題ですね。橋下さんが先頭に立って、一緒にやろう、付いてきてくれ、と言えば、みんな奮い立つでしょうね。やらないとなると、なぜ国政政党をつくったのか、疑問が出る。国会議員も右往左往になる。
【塩田】橋下さんとはどういう関係ですか。
【小沢】2012年の総選挙の前に二、三度、話し合いました。「総選挙に出なさい、出なければ駄目」と言いました。結果的に、橋下さんは「いやあ、自分は」ということに……。
橋下さんは大衆を惹きつける能力を持っています。ある意味で、小泉純一郎元首相のような……。政治家にとって必要な要素を持っています。
大阪都構想に固執しているけど、あくまでも統治の機構を根本から変えるという思想に立脚して政治行動すれば、それはいいのではないかと思います。統治機構の変革は、僕がずっと前から言っていた話ですが、橋下さんが言い出したのは大変良いことです。
【塩田】維新の若い政治家の人たちと会って話し合っているそうですね。
【小沢】会いたいと言うから、会いました。年寄りのいろいろな経験話を聞きたかったのでは……。みんな橋下さんを先頭にして次の選挙を戦いたい、そのために野党は協力していかなければ駄目だ、という考えでしたよ。「天下を取る、すなわち大事を成すには、リーダーは目先の自分の利害を捨てなければ駄目です。そこをすっきりさせれば、協力はすぐにでもできる。みなさんは維新の中でそういう姿勢で頑張って下さい」と申し上げた。
【塩田】橋下さんは、中央政界に進出した場合、リーダーとしてパワーを発揮できるかどうか、疑問に思う人もいます。
【小沢】本人の考え方次第でしょうね。ずっと首長で、ワン・オブ・ゼムの議員とは違います。首長は大統領制、こちらは議院内閣制です。自分の思うとおりになんでもやるわけにはいかない。ですが、日本の維新を掲げてやってきたのだから、本人が出馬することを僕は望みますね。中央政界では、付いてくる人がいっぱいいれば、影響力は行使できる。
【塩田】小沢さん自身は、野党結集で自分が果たすべき役割についてどうお考えですか。
【小沢】小さなグループになってしまいましたから、僕から声をかける立場ではない。民主党、維新のどちらでもいいし、双方でみんなに声をかけていく形もいいと思います。ただ、「オリーブの木」のような形で選挙協力をするにしても、実際に候補者の調整や選挙をどうするんだという類の話でお役に立てれば、僕はしますよと、そういうことです。
要するに実務ですね。それをどうするかは、各党のトップの人たちが決断すればいいことです。後は具体的にどうするかという話ですから。野党の連携ができたら、候補者はどんどん手を挙げます。いまはとても政権は取れないと思っているから、みんな尻込みしていますが、政権が取れるとなったら、絶対にみんな出ます。