受験の世界が変わりつつある。塾に対する親の期待は「成績を伸ばすこと」「学力をつけること」だが、「いつ、どの時点までに成果を出してほしい」というリクエストは数年前までほとんど見られなかった。ところが、塾と家庭との接点に「父親」が積極的に参加しはじめてから、「何カ月で効果が出るのか?」と聞かれることが増えてきた。

変化の源流を辿ると、PISA(OECD生徒の学力到達度調査)の日本順位が凋落(ちょうらく)した2006年と09年、その間に修正路線が確定した「ゆとり教育」への反省と反動に辿り着く。子供への教育熱の高い親の多くは、子供の自主性と教師個人の創意工夫だけに依存した「ゆとり教育」は、失敗だったと結論づけた。その反動として、子供の学習にも数値目標と期限を定めるビジネス的な視点が必要だと考える父親が、加速度的に増加したものと思われる。

子供の教育に関して、ビジネスライクなアプローチを取る父親を、是とするか否とするか。意見のわかれるところだが、ポイントは、この要求の裏側にある「親の狙い」だ。果たして何が正解なのか。そこを考えてみよう。

学ぶことの楽しさを教える親、教えない親

今回は小学生以下の子供を持つ父親と母親500人に、教育方針に関する意識調査を行った。軸になっているのは、次の2つの質問だ。

(1)子供のやる気はどう引き出すか
(2)教育にお金や時間・労力をかけているか


[アンケートの概要]
2013年2月にネット調査を実施。対象は、小学生以下の子供がいる30~59歳の男女500人。
男性:219人
女性:281人
調査協力はアイブリッジ
※数値は四捨五入をしているため、合計が100%にならない場合があります
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子どものやる気を伸ばす親のタイプは?

(1)から見ていこう。子供のやる気は親が働きかけて引き出すものと考える人を「働きかけ派」、やる気が出るまで親は見守るしかないと考える人を「待つ派」とした。

学歴でどう違うの?
●最終学歴が
大学院……56%(働きかけ派) 44%(待つ派)
大学……60%(働きかけ派) 40%(待つ派)
短大・専門学校……58%(働きかけ派) 42%(待つ派)
高校……50%(働きかけ派) 50%(待つ派)