積立貯蓄は早く始めた人の勝ち

勤務先に財形貯蓄制度がない人は、銀行の積立定期預金を利用するのがお勧めだ。給与振込口座のある銀行なら簡単に手続きできる。実際のところ、利子非課税のメリットが少ない今は、財形貯蓄と銀行の定期預金との違いはほとんどない。また、財形貯蓄のメリットの一つである住宅資金融資にしても、今はもっと有利な銀行ローンを探すこともできるので、魅力が少なくなっている。

だが、財形貯蓄の最大のメリットは「手間がかからないこと」にある。会社で申し込むから昼間に金融機関に行かなくていいし、引き出すのも会社経由なので、ちょっとためらうのも隠れたポイントだ。つまり、財形貯蓄は「預けやすく下ろしにくい」。だからこそ、今までなかなか貯められなかった人や、これから本格的に貯金を始めよう、という人にピッタリなのだ。

「もっと得な預け先があるのでは」「投資信託のほうが有利じゃないの」と考える人もいるだろう。もちろん、自分でもっと有利な商品を探して迅速に動ける人なら、財形貯蓄を選ぶ必要はない。また、すでに貯金をたくさん持っている人なら、一部を投資信託で積み立てるのも有効だ。ただ、あれこれ迷っているうちにちっともスタートできないようでは、結局お金は貯まらない。積立貯蓄は、何より「早く始めた人の勝ち」だ。

マネージャーナリスト 有山典子(ありやま・みちこ)
証券系シンクタンク勤務後、専業主婦を経て出版社に再就職。ビジネス書籍や経済誌の編集に携わる。マネー誌「マネープラス」「マネージャパン」編集長を経て独立、フリーでビジネス誌や単行本の編集・執筆を行っている。ファイナンシャルプランナーの資格も持つ。