2014年3月17日(月)

自然エネルギーだけでまかなえる日はくるのか

日本が変わる、自分が変わる全課題

PRESIDENT 2014年1月13日号

著者
武田 邦彦 たけだ・くにひこ
中部大学教授

武田 邦彦1943年、東京都出身。東大教養学部基礎科学科卒。工学博士。旭化成ウラン濃縮研究所所長、名大大学院教授などを経て現職。内閣府原子力安全委員も務めた。『原発事故とこの国の教育』『偽善エコロジー』など著書多数。

中部大学教授 武田邦彦 構成=宮内 健 撮影=的野弘路
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石炭火力なら500年以上安心

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原発ゼロは十分可能

電力供給の面から原発をゼロにできるか検討すると、十分可能です。IEA(国際エネルギー機関)は福島第一原子力発電所事故の後、日本の電力発電の稼働率は低く、原発を止めても他の電力システムを動かせば電力不足には陥らないという報告を出しています。

一方、コスト面を見ると原発には年間に約5000億円の税金などが支払われています。原発による電力の売り上げは約5兆円だったので、売り上げの10%が税金で入る計算です。電力会社からすれば原子力発電を選ぶのは当然ですが、もし税金を投入しなければ火力発電と同じくらいのコストになると思われます。

安全面はどうか。原発は火力発電より不利です。原発自体はそれほど危険なものではありませんが、日本では震度6以上の地震や津波に襲われる可能性がある場所に立地しています。福島の原発事故も地震と津波によるものでした。危険度が上がれば安全コストが割高になり、反対運動も盛んになります。

多くの原発が存在するアメリカやフランスとはこの点が異なります。フランスには地震がなく、ほとんどが河川沿いに立地しています。アメリカの原発もその多くが地震のない大西洋側に立地しています。

したがって、私は世界で原子力発電は推進すべきだが、日本では原発をゼロにすべきだと考えています。

では、自然エネルギーですべてのエネルギーをまかなえるようになるかというと、現実的ではありません。

第1の理由として、自然エネルギーはエネルギー効率が悪く、経済成長の妨げになることです。

イギリスで産業革命が起こった当初、エネルギー源には木材などが使われていました。当時の産業の生産量は現在の日本の500分の1でしたが、エネルギー効率が悪い。そこで使用されるようになったのが石炭、石油です。木材から石炭、石油、そして原子力へとエネルギーが移ってきた理由は、単位面積あたりのエネルギー量が高いからです。日本が高度経済成長できたのも、石炭や石油、原子力のようにエネルギー密度が高い燃料を使用したからにほかなりません。

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