中古車市場で今、ハイブリッド車への関心が急速に高まっている。背景にあるのは、大ヒットした“3代目プリウス”の中古車市場への登場、そしてU-Car(中古車)分野を狙ったトヨタの新たな“商品戦略”だ。

世界初の量産ハイブリッド車が発売されたのは1997年12月。トヨタ自動車のプリウスだった。それから丸16年が経ち、中古車市場でもハイブリッド車が着実に増加し始めている。特に販売好調の3代目プリウス(2009年発売)が初回車検を迎える時期に入り、買い替えなどで中古車マーケットに登場、ハイブリッドU-Carの選択の幅が一段と広がってきている状況だ。

実際、中古車販売店からは、質のいいハイブリッド車はすぐに売れてしまうという声が聞かれる。やはり人気の要因は、圧倒的な燃費の良さと独自の走行性能だろう。新車では難しいが、中古車なら「手頃な価格で購入できる」と、ハイブリッドU-Carに熱い視線が注がれているのだ。

そしてもう1つ、ハイブリッド人気を加速させているのが、トヨタ自動車が昨年の春から始めた「T-Value(ティー・バリュー)ハイブリッド」という新たなブランド戦略である。同社U-Car事業部の東塚将志さんは、「お客様へ『安心』『信頼』を提供するのが最大の目的」とその狙いを語る。

ハイブリッドU-Car市場において、販売を拡大している「T-Valueハイブリッド」。徹底した点検や保証などが顧客の支持を得ている。

「ハイブリッドU-Carの購入を考える方からよくいただくのが『システムやバッテリーは大丈夫?』という声。ハイブリッドは機構が複雑という印象が強く、バッテリーの寿命についても、気にかけるお客様が多くいらっしゃいます。その不安を何とか払拭できないか。そこで私たちが新たに設定したのが、『T-Valueハイブリッド』というブランドです。累計走行距離20万kmまでなら、初度登録年月より10年間、無償でハイブリッド機構を修理するなど、充実のサービスをご提供しています」

トヨタではすでに2010年から中古車独自の商品ブランド「T-Value」を展開している。シートまで外し車内の隅々まで洗浄・消臭する「まるごとクリーニング」、認定検査員が検査しクルマの状態を明らかにする「車両検査証明書」、そしてメーカーや年式を問わず、走行距離無制限・1年間無料保証の「ロングラン保証」。この“3つの安心”が、その中身だ。「T-Valueハイブリッド」では、さらにこの“3つの安心”に「U-Carハイブリッド保証」と「ハイブリッドシステム診断書」が加わることで、トヨタ販売店ならではの強みを打ち出している。

「トヨタの販売店では初代プリウス以来、長年ハイブリッド車を扱ってきています。全国の店舗には専用の設備・機器があり、ハイブリッド車を熟知したエンジニアがいる。さらに点検対応などで蓄積した技術とノウハウ──こうした全国規模の組織とシステムがあるからこそ、新たな商品ブランドを打ち出すことができたのです」