男性社会に本能的に同質化していった

野村ホールディングス 執行役員 経営企画担当 鳥海(真保)智絵さん

仕事のうえで「男性だから」「女性だから」と意識することはほとんどありません。「男性社会」についてどう思うか、と問われることもありますが、いわゆる「男性社会の論理」と呼ばれるものは、性別に起因するものではなく、単に「多数派の論理」と考えています。

もし敢えて男性社会の特徴を挙げるなら、インフォーマルな人のつながりが形成されやすいことでしょうか。例えばその象徴が「タバコ部屋」です。実際はどうかわかりませんが、タバコを吸う人たちの間で情報がやりとりされ、「多数派」の価値観が形作られているのではないかと部外者は想像する。そういう非公式なネットワークは、一般に女性社会では少ないように思います。現状においては、そうした「少数派」のインフォーマルなネットワークを意識的に作っていくことも必要なのかもしれません。

仕事に男女の意識を持ち込まないせいか、これまで特に「女性だから不利」などと思ったことはありませんでした。むしろ、私のほうから男性社員に同質化していったと説明するほうが正確かもしれません。理屈でそう判断したのでなく、それが正しいとも思っていませんが、今思えばおそらく本能的な対応だったのでしょう。

女性の後輩から見れば、「あんな髪を振り乱してまで頑張りたくはない」と思われる場面もたぶんあったでしょう。自分では無理していないつもりでも、「働く女性として目指したい姿」ではないかも……と数年前にふと気づきました。彼女たちが肩肘張らなくても活躍できる職場環境を整えることも、私たちの役割なのだと今は思っています。