“気づく力”で体を守る

2013年11月23日(土)

“気づく力”で体を守る

PRESIDENT 2013年12月16日号

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「肥満はさまざまな生活習慣病のベースであると同時に、自分で異変に気づくことのできる重要なサインでもあるのです」と原プレスセンタークリニックの原茂子院長は言う。多忙なビジネスパーソンでも実践できる体重コントロール術について、詳しく伺った。

生活習慣病の元凶は
30代からの「肥満」

原 茂子●はら・しげこ
日本内科学会認定専門医、日本腎臓学会指導医、日本透析医学会指導医。名古屋大学医学部卒業。1969年から虎の門病院内科病棟医を経て腎センターに勤務。血液浄化療法部長、腎センター部長、健康管理センター部長などを歴任。2013年より現職。日本腎臓財団監事、NPO腎臓サポート協会理事などを務め、腎臓病の対策に尽力している。

30代から40代の働き盛りは、健康管理が後回しになりがちな上、あちこちの贅肉が目立ち始める頃。「糖尿病、高脂血症、高血圧は生活習慣病の代表格ですが、ベースにはメタボリック症候群があります。生活習慣病は自覚症状がほとんどないため、気づいたときにはかなり進行していることが多い」と、原院長は警鐘を鳴らす。

その名称が広く浸透している一方、原院長の経験によれば、「実態について正しく理解している人は少ない」。メタボリック症候群とは、内臓脂肪の過剰な蓄積が原因で高血圧や高血糖、脂質異常が発生し、動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まっている状態のこと。その因子である血糖値やコレステロール値などは、過去15年の間に男女とも上昇し、メタボの有病率も増えている。

「男性の場合は、その傾向がさらに顕著です。内臓脂肪の量が増えると、血糖値を下げるインスリンというホルモンの効きが悪くなり、糖尿病や高脂血症、高血圧のリスクが急上昇します。逆に肥満がなければ、血圧や血糖、血中脂質に、異常はあまり認められないはずです」

肥満の影響はまだある。

「最近増えているのが、高尿酸血症です。血液中の尿酸値が異常に高くなる病気で、血液中に溶けきらない尿酸が体内のあちこちで結晶として蓄積。痛風などの障害を引き起こします。動脈硬化が加わると腎機能障害を起こし、人工透析が必要となるケースもあります。また、睡眠時無呼吸症候群も肥満と関係が深い。睡眠中に10秒以上の呼吸が停止する状態が5回以上繰り返される病気で、肥満によって上気道が狭くなり、発症リスクが高まると考えられています」

症状には日中の強い眠気があり、仕事にも深刻な影響を及ぼしてしまう。

さらに、日本人の死因の第1位となっているがんについても、肥満とは無関係ではないことが分かってきた。

「日本糖尿病学会と日本癌学会による共同の疫学調査によると、糖尿病患者における全がん罹患リスクは1.2倍(男性1.19倍、女性1.19倍)に上昇するという結果が出ました。糖尿病の原因の一つは肥満。つまり、肥満を防ぐことが、がんの予防に貢献する可能性もあります」

このように肥満は、まさに「万病」の原因となり得る。そして、自分に向けて発せられた病気のサインでもあるのだ。