2013年7月23日(火)

なぜ集中力を高めると病気になりにくいのか

茂木 健一郎:世界一の発想法

PRESIDENT 2013年6月17日号

著者
茂木 健一郎 もぎ・けんいちろう
脳科学者

茂木 健一郎1962年、東京都生まれ。東京大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学博士専攻博士課程修了。理学博士。第4回小林秀雄賞を受賞した『脳と仮想』(新潮社)のほか、著書多数。

執筆記事一覧

茂木 健一郎 写真=UYORI/PIXTA
1
nextpage

先日、病院で講演する機会があった。私は、この20年くらい医者にかかっていない。それだけ健康なのはありがたいとも言えるし、病院が苦手、ということもある。

私の周辺では、風邪になったと言っては医者のお世話になり、インフルエンザの予防注射を打たなくてはとまた病院に行く、という人もいる。

一方、私は、病院に行くのはできるだけ避けたい、という気持ちが強い。白衣の人たちを見ると、緊張してしまう。きっと、子どもの頃、注射をされて痛かった、みたいな原体験が脳の感情の回路に根付いているのだろう。

できるだけ、病院の世話にならないで健康でいよう、と心がけている。もちろん、いざ病気になったときは、お医者さんはありがたい。私の母が数年前に胆石を患ったときも、担当医の方に随分とお世話になった。それでも、病院にできるだけ行かずに健康を保てたらそれに越したことはない。

脳には、自分の体を治癒するうえで欠かせない調整能力がある。これが、近年の様々な知見を総合したときに見えてくる1つの結論である。1番典型的なのが「プラシーボ」の効果で、砂糖の塊をクスリだと言って投与すると効いてしまう。

脳活動を計測する研究によれば、プラシーボを投与すると、脳の感情や報酬にかかわる前頭葉を含む回路が活性化することがわかっている。これらの回路の活動を通して、自己治癒を促す脳の働きが高まるらしい。

体の中では、ある一定の確率でがん細胞が生まれてしまう。これらのがん細胞に対して、免疫系はそれを認識して排除する働きがあることがわかっている。

詳細は、まだ研究の途上だけれども、自己治癒を促す脳の働きが、免疫系の活動を高め、結果としてがん細胞を排除する働きも強まるということが実際にあるらしい。

PickUp