チームメンバーに納得感をもって業務に取り組んでもらうにはどうすればいいか。経営コンサルタントの斎藤広達さんは「『もっと訪問件数を増やせ』といったあいまいな指示は、何も言っていないのと同じだ。具体的に何件なのか、もしそれが1日5件だとしたら、なぜ5件なのかを計算して具体的な数字で語ることで、現場は動き出せる。数字に強い上司なら、そのあいまいさを数字に落とし込み、『今月は目標まで○○万円足りていないから、最低でも○件受注を増やす必要がある。だから、訪問件数をあと5件増やそう』というように、誰もが理解できる共通言語に変換できる」という――。

※本稿は、斎藤広達『頭のいい人が使っているずるい計算力』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

走るビジネスマンと高層ビルのイメージ写真
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「数字」への畏怖と憧れが計算力を強くする

瞬時に複雑な暗算をして、会議中も鋭い指摘を連発する先輩。ツールを使いこなして売上や業績を分析し、魅力的な企画や経営戦略を立てる同僚。

チームの意見を取りまとめて、具体的な数値目標や方針をすぐに決定する上司。

数字を使って仕事をしている人たちを見ていると、

「仕事ができて羨ましい」
「なぜ、あんなにも速く計算できるのだろう?」

そう思うことはないでしょうか。

ビジネスとは、数字を追いかけることの連続です。目標売上○○億円、目標利益○千万円を目指す、固定費の○○%削減を目指すなど、現場では常に多くの数字が飛び交っています。

これらの数字を自在に操り、瞬時に解決へ導く能力こそが「計算力」。仕事ができるビジネスパーソンの多くは、この計算力を使いこなしているものです。