高齢になっても元気でいるためにはどうすればいいか。精神科医の和田秀樹さんは「更年期以降の女性は、男性ホルモンの分泌が増えてより活動的になっていくことがわかっている。一方で、幸せホルモンが著しく減って『うつ』リスクが高まるので、十分なセロトニンを維持することが重要だ」という――。

※本稿は、和田秀樹『60歳から女性はもっとやりたい放題』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

老人ホームでお茶を飲む高齢者のグループ
写真=iStock.com/Cecilie_Arcurs
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女性の「第2の人生」の鍵はテストステロン

これまでの人生とはまったく違う種類の楽しさや幸せが詰まった第2の人生を手にいれるコツは、なんと言っても「やりたい放題」に生きることです。

しかもとても幸運なことに女性の場合は、まさに60歳くらいから「やりたい放題」に生きる「ポテンシャル」が高まるのだと言ったらあなたは驚くでしょうか。

その鍵を握るのは、何を隠そう男性ホルモン(テストステロン)です。

男性ホルモンというのは、筋肉をつくったり性欲を司ったりというイメージが強いかもしれませんが、他にも例えば意欲を高めるとか、活動的になる、人付き合いが好きになるといった重要な働きがあります。

男女差別うんぬんの話ではなく、例えば企業のトップになるといった上昇志向は男性のほうが強いというのが一般的な感覚だと思いますが、それも男性ホルモンの作用が大きく影響しているのです。

更年期以降は男性ホルモンが増大する

実はこの男性ホルモンは、男性の5〜10%程度と量は少ないものの、女性の体内でも分泌されていることがわかっています。

女性の場合も、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が年齢とともに減っていくことはみなさんもよくご存じでしょう。そのせいで不定愁訴しゅうそ(原因がはっきりわからないけれど、なんとなく体調が悪いこと)に悩まされやすいのが「更年期」と呼ばれる時期ですが、更年期が過ぎたあとは、女性ホルモンの量は極端に少なくなります。

その結果、更年期以降の女性の体内では、男性ホルモン(テストステロン)の量が相対的に多くなるとこれまでは考えられてきました。

ところが、東日本大震災後の調査で実は絶対量が増えていることがわかったのです。

いずれにしても、更年期以降の女性は、体内で増えた男性ホルモンの働きで、より意欲的、かつ活動的になっていくわけです。だから、60代以降の「やりたい放題」には男性より女性のほうが明らかに向いているのです。