学力が低いのに「早稲田」に入学できてしまう学生も…大学受験を“不公平なシステム”にしてしまった「指定校推薦枠」の功罪(都田 ミツコ) 中学受験バブルの落とし穴 #3

英語がペラペラなのに国語と社会が“壊滅的にできなくなった子”も…ベテラン塾講師が教える「英語の先取り学習」のリスク〉から続く

「偏差値が低い高校でも、その中で上位の成績を取ればいいので、学力が高くない子でもMARCHどころか早稲田大学に入れることもあります」

キャリア20年、ベテラン塾講師の財部真一さんが語った「指定校推薦枠」の問題とは?(全3回の3回目/#1#2を読む)

学力が足りない子でも早稲田大学に合格してしまうカラクリとは……? ©getty

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学力が高くない子でも早稲田に入れるカラクリ

――中学受験せず、公立中学から高校受験をするメリットは何だと思いますか?

財部真一(以下、財部) 普通科の公立高校は、昔から沢山の指定校推薦の枠を持っています。また校内で指定校推薦に選ばれる競争率は、中高一貫校よりもずっと低いんです。

指定校推薦を出願するためには平均4以上の評定と、高校内で同じ志望大学の人より上にいる必要がありますが、中高一貫校では中間層が厚いため、努力しても評定や順位がなかなか上がりません。また、ライバルも多いため指定校推薦をもらうには競争率がすごく高いことが一般的です。しかし公立高校では、今その競争率が昔に比べすごく落ちているところが多いんです。 

指定校推薦にどんな子を選ぶかは、実際には高校の先生次第なので、一般入試での合格は「まずないだろうと思う子」でも出願でき合格します。偏差値が低いような高校でも、その中で上位の成績を取ればいいので、学力が高くない子でもMARCHどころか早稲田大学に入れることもあります。

――偏差値が低い公立高校にも、有名大学の指定校推薦枠があるのですか?

財部 昔からある公立の進学高校は、中学受験や少子化の影響で偏差値が下がっても、よほどのことがない限り指定校推薦枠はなくならないんです。少子化の影響で、どの大学も入学者数を確保するのに必死です。しかし偏差値を維持するために一般入試の難易度は下げられないので、推薦枠を増やして学生を集めています。だから指定校推薦の枠は減らしません。総合型選抜や公募型推薦制度など、一般入試以外の制度を拡充させています。

各地域にある実業高校の推薦枠も広がっており、ある工業高校では、250人程度の生徒に対して、40名を超えて国立大学への合格者を出しています。国立大学合格を目指す普通科の高校より偏差値はずっと低い学校が、推薦制度で国立大学の合格者数を伸ばすような時代なんです。

地方の公立高校では、偏差値60以上の有名私立大学の指定校推薦枠が余っていることもあります。「枠が残ってるから出願しないか」と先生から声をかけられたケースもありました。それくらい私立大学の経営は苦しくなっているし、少子化の影響は大きいんです。

――大学に入りやすくなっている時代なのに、首都圏ではなぜ中学受験が過熱しているのでしょうか。